2017年12月16日土曜日

深川二幸堂菓子こよみ

深川二幸堂菓子こよみ 知野みさき
 兄・光太郎十二才、弟・孝次郎十才の時、火事に合う。一端逃げた二人だったが兄が父親の道具箱をとりに戻った。弟が兄を探しに戻った。兄が倒れていた。弟の上に火のついた梁がのしかかった。弟は助けてと叫ぶ。父親が来た。父親は気を失っている兄を助けた。孝次郎すまないの声を残して。弟は火消しに助けられた。左の首元から右腿にかけてと左手のひらに火傷を負った。

 火事から十四年 三年前父親が亡くなる。
孝次郎24才は菓子屋の大店・草笛屋の奉公人だった。先代に目をかけられ、順風満帆だった。先代が昨年亡くなり板場から餡を作るだけの餡炊き部屋に追いやられ、三人でする所を一人で担当した。十月、兄が菓子屋を始めると迎えにきた。
 師走の斑雪 深川で二幸堂を始めた。二人だけの店だった。おいしい菓子と客あしらいのいい若旦那。金鍔と味噌饅頭しか作っていなかった。お客の希望を聞き、薄皮饅頭を作る。店の客・暁音が斑雪と名付けた。
 暁音は七年前、孝次郎が吉原で一度だけ客だった紅音だった。二度目に行くと身請けされていた。今。深川で三味線を教えながら長屋にすんでいる。
 孝次郎は光太郎が東不動の親分というやくざと付き合いがあることを知る。心配になった孝次郎は涼二という腹心に会いに行き、弟のために一回こっきりの博打に掛けた光太郎の行動を聞く。
 如月の恋桜 お菓子が大好きな孝次郎の金鍔が江戸一と言う七が働くようになった。見込みをはるかに上回る助っ人だった。練り切りを作れと言う光太郎。深川では練切りは売れないと言う孝次郎。茶人の墨竜の茶会に菓子を売り込みに行く。茶会の菓子は草笛屋と見習いの作った菓子で競ことになった。光太郎が練習する。光太郎の練習した上菓子を恋桜と名付けた。乾いていたと言う理由で光太郎は負けた。孝次郎は草笛屋は見習いが作った菓子ではなかったこと、草笛屋の応援の客が隙を見て重箱に懐紙をいれたようだと耳にした。草笛屋の浩助と出合い、見習いが作った菓子ではなかったこと秀柳が懐紙を入れたことが本当だと確信した。光太郎の悪口を言われ喧嘩になりかけたが、割って入った七が浩助の鳩尾に一発決めた。
 二羽の鶉を身体の弱い七の子ども彦一郎5才にやる。干し菓子の押菓子を作る。菓子の型を光太郎が作る。たまごと鶉二枚一組でうずらと名付ける。
 弥生の幾望 暁音の元同僚・彩と出会う。暁音が彩にお金を渡していた。彩に誘われついて行った孝次郎。話をして一夜を過ごす。餡にたまごを使う菓子を彩に聞いた幾望という名にする。彩に草もちを作る。持って行くと彩は神奈川宿へ引っ越ししていた。寂しいという暁音と・・慰めが欲しいだけだろうと孝次郎は思った。一夜を過ごした。
 さつきの紅福 小満に錦玉羹を作った。東不動の大親分のために。評判が良かった。春の川と名付ける。
 七の亭主が板前をしている料亭で煙草入れが無くなり、暁音の三味線袋から煙草入れが見付かった。濡れ衣だと言ったが暁音が悪者になってことが収まっていた。演の主が墨竜だったと聞き、孝次郎は犯人を捜そうと思う。光太郎が聞き込みをした。料亭栗山の中居・伊乃が暁音の三味線袋に煙草入れを入れたのだった。伊乃の兄は草笛屋の番頭・善次郎だった。突然、孝次郎が店を辞めたために善次郎は大変だった。孝次郎の大事な人を困らせようと思ったのだった。
 外の皮が紅色で中の白餡は粗めの粒餡の大福を作る。名前は紅福。
 暁音の長屋が火事だ。光太郎と孝次郎は助けに行く。暁音は居なかったが大事にしている三味線と隣の老婆を助ける。婆さんをおいていけば助かると思ったが二人は今度こそ三人で逃げるぞと壁をぶち抜き、板塀を蹴り破り逃げた。焼け出された暁音を店に連れて行く。 

0 件のコメント:

コメントを投稿