2017年12月28日木曜日

質屋籐十郎陰御用(六) 質草の誓い

質屋籐十郎陰御用(六) 質草の誓い 小杉健治
 青物売りの仙太は働き者だが喧嘩早い。好きな娘・すみが母親の薬代に借りた三十両の借金のために妾奉公にでると聞き、人情質屋「万屋」に駆け込む。前から仙太を見ていた籐十郎は仙太の命を形に三十両を貸す。何かあったら必ず知らせる。喧嘩は一切しないことを約束とした。
 仙太が助けた男が殺された。男は元火盗改の手下・重吉、仙太の長屋を覗いていた、人捜しをしていた。すみの母親・とよは重吉のことを気にした。誰かを待っているようだ。とよは十八年前からここに住んでいる。
 十八年前長屋の近所の呉服屋に盗賊が押し込み三千両が奪われた。いったん近くの松吉の長屋に隠し、後に隠れ家へ移された。とよと所帯を持とうとしていた修次は元軽業師で盗賊に塀を乗り越え木戸を開けるよう頼まれた。とよと看病に通っていた修次の親代わりの松吉に窘められ修次は自訴する。隠れ家に踏み込んだ火盗改は盗賊を皆殺しにした。二千両が回収され千両が無くなっていた。在処はわからないままだった。とよは松吉の長屋に住みすみを産んだ。修次が島んい送られる時、あの長屋で待つ約束をした。修次が赦免され島から帰ってきていた。修次は長屋に千両が残っていることを知らなかった。
 三ヶ月前に長屋に引っ越してきた半治にとよが連れ去られる。修次が呼び出され修次は千両の在処を言う。すみにとよを迎えに来るように連絡が入る。仙太とすみは命を狙われ、籐十郎に頼まれた如月に助けられる。すみは帰ってくる。長屋の床板がはがされていた。籐十郎の仲間・吉蔵は千両箱の行き先をつけていた。運び込まれた先を訪れ、北町奉行所同心・近田征四郎を呼ぶ。千両を回収し、黒幕の正体を突き止めた。十八年前・火盗改役だった御手先組与力大野甚兵衛だった。
 すみと仙太・とよと修次が一緒に暮らし始めた。
 「大和屋」存続のためにつゆを譜代大名の次男に嫁がせるという。籐十郎の父と兄は籐十郎につゆを説得するようにいう。幕閣の中で大和屋不要論がでている。大和屋は弾左衛門の資金で武家に金貸しをしていた。籐十郎にしか嫁がないというつゆは逃げた。どこに行ったか分からない。見つけ出して説得するようにいわれる。つゆは北町奉行所与力・戸坂甚兵衛の屋敷にいた。父親に知られないうちに余所に移す。

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