与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記 澤田瞳子
真楯21才 近江国高島郡角野郷から三年の夫役で徴発され、東大寺に配属された。
鮠人 美濃国厚見郡からきた仕丁 銅が刎ねる事故があり怪我を負う。強欲で知られる婆・若狹売を看護に呼ぶ。儲けた金で柿を買ってきてやると言われた。
小刀良26才 石見国安濃郡 妻と娘が亡くなったと聞いて脱出しようとする。
三人は造仏所に配置された。
猪養30才位 造仏所の仕丁頭 三年がすぎても出来上がるまでいてもいいと思うようになる。
浄須 病気になる。姉の形見の白鑞の仏像を潰し型持に変え大仏の型持にはめるよう頼む。
南備 女の奴婢頭
宮麻呂40才位 炊男 美味いと評判、働く者のために食事を作る。多めに作り、
国公麻呂 造仏所長官 祖父が百済から技術を日本に伝えた。最早時代遅れと言われたりする。めったに現場に現れない。高市大国を追い落とそうとする。
高市大国 大仏鋳造を取り仕切る。毎日みんなと働く。
朱元珞62才 東市で工房を営む鋳師 高市の配下、若手鋳師の指導をする
朱牟須女 宮麻呂の手伝い、水仕女 元珞の娘
秦緒 造瓦所の炊男だったが不味くみんなが来ない。宮麻呂のところで教えてもらいながら働くようになった。
行基 国内僧侶の最高位・大僧正に任ぜられた。大仏勧進の聖として協力。
栄慶 行基の弟子。在家の弟子衆を引率してくる。15年前の宮麻呂を知っていた。
乙虫 陸奥から来た。資材管理の悪さの責任を高市大国に負わせるために、なかった棹銅の横流しがあったかのように床下に置かれ濡れ衣を着せられた。公麻呂が大国を陥れるために盗難騒ぎを企んだことだと宮麻呂に言われた猪養が犯人は自分だと名乗り出て乙虫は助けられた。
安都雄足27才 舎人、造寺司の官人の中で最年少、元・大学寮の明経生。16年前、左京職の使部だった父親を逃亡を企てた陸奥国の仕丁に刺されて殺されたため陸奥国の者を憎んでいた。
宮麻呂が栄慶に呼び出され行基の粥を菅原宮に作りに行く。真楯は道具を持ってついて行く。真楯は宮麻呂が何者か知りたかった。15年前、宮麻呂は労役半ばで逃亡し、菅原寺の行基の元にいた。安都に見付かり官が態度を和らげ弾圧がゆるくなってきていた行基に迷惑がかからないよう、安都を殺して蓄電していた。
小刀良が大仏の仮屋に火をつけた。行基が亡くなりそうだとみんなが菅原寺に行った時、小刀良は雄足に追い込まれる。宮麻呂は雄足の父親を殺したのは自分だと言う。宮麻呂は故郷の陸奥小田郡の佐目川がきらきら光話しを大麻呂にすると鋳師だった彼は砂金かもしれないと二年前陸奥に行き、砂金だったことを報告してきていた。その砂金と小刀良の命と引き換えようと提案する。雄足は目をつぶることにする。大麻呂に陸奥国主に砂金を届け出るように言う約束をする。宮麻呂は働いている者の仏だと言う真楯に、雄足は仏は斬れない、大仏が出来上がるまで命を預けると言う。
真楯は三年が過ぎても出来上がるまで、出会う仲間のなかに仏の姿を見ようと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿