2015年12月28日月曜日

お鳥見女房4

お鳥見女房4 狐狸の恋 諸田玲子
 秋 君江が嫁いで矢島家に居ない。源太夫・多津夫婦も五人の子を連れて新居へ移っている。三巻がとんでいる。
 この母にして お鳥見役の久太郎は内密の役目を申し付けられた。鷹匠と鷹匠見習いの片柳村での実情を調べて知らせると言う任務だった。
 鷹匠たちの専横は目に余った。幼鷹に襲われそうになった子供のため鷹を打った親が縛め閉じ込められた。久太郎は解き放し、鷹匠の前で解き放しの願いを出す。同僚も7人の野回りも村人も続く。お構い無しになる。
 珠世は刈り取られる寸前の稲田に入り、稲を踏み荒らす若者をみた。従者もいる。鷹を飛び立て稲田を突き進もうとする。珠世は叱責した。若者は女だった。従者を連れて田畑に踏み込まなくてもいいでしょう。という。若者は畦道を行った。若者は老中水野越前守忠邦の鷹匠和知正太夫の娘・恵以だった。久太郎が断わった縁談相手だった。恵以の付き人・松井次左衛門は珠世の幼馴染みだった。
 久太郎は見習いが取れ、本役の鳥見役になった。珠世は恵以から鷹の尾鈴を貰った。
 悪たれ矢之吉 源太夫は稲垣家に仕官していた。源太郎は元服し嫡男として生活していた。源次郎は組屋敷の生活にうんざりしていた。矢之吉は源次郎たちと同じ農家の納屋で暮らしたことがあった。父親は身を持ち崩していた。源次郎は矢之吉に誘われる。火事場泥棒をしようとする矢之吉に背を向けた。探しに来た源太夫と源太郎に会う。久太郎と久之助もいる。
 久之助は一昨年久右衛門の形見という小袖を届けに来た娘・大番組与力加納重五郎の姪・綾と付き合っていた。
 狐狸の恋 馬庭念流栗林道場指南役・矢島久之助に綾の伯父・重五郎は加納家の親類の娘・旗本の側室・幾乃の身辺警護を頼んだ。怪しい人と思われたのは旗本の当主の弟だった。思い焦がれた者同士が生涯唯一夜の名残を惜しんでいた。弟は大名家に養子に行く事が決まっていた。幾乃は髪を下ろした。
綾は昔、久右衛門が隠密仕事で知り合った女の娘だった。二、三才の頃一緒に過ごしたことがあった。綾の母親に本気で惚れた。という。
 日盛りの道 君江は御徒目付・菅沼隼人と結婚した。このごろ隼人はお酒を飲んで帰ってくる。舅姑もいつもと違う。隼人が斬られて帰って来た時、白玉を持って実家に帰される。自分は余計者だったのだと思いながら君江は帰る。珠世に問われて話している間に、隼人が君江に扇子を託した事が分かり、君江は上役の上役、御目付けに扇子を届ける。礼をされ駕籠で送られて帰った。隼人は調べているうちに悪仲間に御目付け山内家の三男がいることに気がついた。菅沼の母と珠世の機転だった。捕り方が行く寸前だった。元道場の門弟だった。
 今ひとたび 水野越前守忠邦は老中を辞職、禄高五万石に減らされ隠居謹慎となった。久太郎は水野家の和知に会いに行った。水野が現れ、恵以を探す事を頼まれる。恵以が鷹を取り上げられると勘違いし鷹を連れて逃げ出していた。
次左衛門は鳥見役の家にいる恵以を屋敷に帰るよう説得してくれるよう珠世に頼みに来ていた。
 久太郎は初めて二人が会った所へ向かった。久太郎は恵以を抱きしめ二度と父御を困らせるな。拙者を心配させるな。という。恵以は屋敷に帰った。
 珠世は久太郎が決めた嫁なら誰であろうと喜んで迎えようと思った。
 別の顔 組屋敷の一軒の納屋で怪我の手当てを受けていた男が殺された。殺したのは稲垣家の新しく入った門番だった。殺された男も殺した男も押し込みの犯人だった。
 末黒の薄 久右衛門は組屋敷の前で捨て子を拾ってきた。母親が見付かった。いっしょに住んでいた浪人がいなくなり子供を育てられないと思って捨てたが、捨てきれなかった。浪人は藩から上意打ちを命じられ成し遂げて藩に帰っていた。久右衛門と久之助と阿佐は鷹を探すという口実で大名屋敷の中に入り、浪人だった男に会った。阿佐は私の事はお忘れください思いを込めて見つめた。阿佐は子供を連れ実家に帰った。
 綾は上意討ちの侍の話しを聞き、やはり自分の知っている久右衛門は十五年前に死んだのだと言い切り、久右衛門の昔の話を聞かなかった。
 菖蒲刀 久太郎は和知に、恵以を嫁に欲しいと申し込む、が断わられる。和知が襲われた。水野に怨みを持つ御鳥見役見習いだった。御徒目付の隼人と和知家家来・松井次左衛門が御鳥見役見習いの後見・寺田に会う。上役・内藤の顔を立て、寺田与五郎の養女となった恵以と結婚する事になった。
 久之助は綾と祝言を挙げ、二人で夫婦養子に行く事に決まった。

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