2017年7月23日日曜日

御家人無頼蹴飛ばし左門⑦ 乙ケ淵哀話

御家人無頼蹴飛ばし左門⑦ 乙ケ淵哀話 芝村凉也
 ⑥で辻斬りを成敗し、首と引き換えに大金をせしめ、辻斬りの若様の家来に金を渡して逃がした。
 辻斬りの若様・旗本二千二百石徒頭池端家の嫡男・縫之介を亡くし、母・満流は縫之介を斬った者を成敗しろと言うが、家臣は縫之介は病死で届けられ事を荒立てたくなかった。満流は実家・三千五十石西の丸留守居の水島大膳正に頼みに行く。
 水島家は嫡男が亡くなり、次男を退け三男を跡継ぎにしようとしていた。次男を池端家の養子に出来るかもしれないという目算で満流の願いを受けようとする。右筆の異父弟・戒名寺隼人を使い調べさせる。
 水島家比良の方は自分の息子・新六郎を跡継ぎにするために修験者・鬼界坊に戒名寺の手助けを頼む。今までも水島家の正室の嫡男と腹の中の子と共に正室が鬼界坊の加持祈祷の御陰で願望成就し身罷られていた。護摩壇で火をくべて生じた訳ではない。後ろ暗い手を使ったことを比良の方が認識しているか判らない。
 鬼界坊は縛心術を左門に使うが、左門に完敗し洗いざらい話す。戒名寺は調べるにあたり左門の知り合いの岡っ引き・一蔵を殺していた。戒名寺を呼び出し斬り合い倒す。
 水島家の三男・新六郎は辰巳芸者の姉妹に馴染みが出来通う。妹と一緒にいると気が休まるのだが、妹・菊弥は芸者にもなれず、一人で家に置いておけないので姉・染太郎のお荷物になっていた。借金もあり菊弥は遊女屋に売られることになる。
 新六郎は兄・三蔵を差し置いて自分が跡取りになることに蟠りがあった。そんな新六郎に比良の方の息子を当主にしたくない家老職の安村と用人頭の伊吹は新六郎に新六郎は殿の子でないので当主になることを辞退して欲しいと言いに来る。左門は新六郎に縫之介のこと、鬼界坊のこと、戒名寺のことを話す。
 新六郎から染太郎、菊弥姉妹のこと、家臣から聞いた父親のことが書かれた封書が届く。新六郎は、大川で船を仕立て親類を集めた新六郎の家督擁立の祝いの会で、菊弥と手を繋いで大川の乙ケ淵に沈んだ。左門は見ていた者がいたことを池端家に伝えた。
 家老と用人には当主の子でないことが嘘であることを暴き、自分たちの出世や私腹を肥やすために新六郎を陥れたと思わせるようだったら亡き若様に代わって成敗する。啖呵をきった。左門は最後に背を押したのは自分だと思った。
 水島家は三蔵が継いだ。
 
 

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