2017年7月3日月曜日

逆転

逆転 小杉健治
 鶴見京介は柏田四郎法律事務所の弁護士。
石出淳二43才の部屋で槙野須美子が殺され傍に石出が居たために逮捕されていた。京介は石出の弁護をする。石出はコンビニに行っている間に殺されていたと言う。
 石出は十三年間服役し、出所して三ヶ月で再逮捕された。十三年前の事件の弁護士は柏田だった。柏田は石出は死体遺棄はしたが、殺人は彼ではないと思っていた。石出が自分の犯行だと言い張り、服役していた。
 警察は十三年前の事件は須美子が犯人で身代わりに石出が服役したにも関われず、出所後須美子が冷たい態度を取ったため殺したと考えていた。殺された宅配人は何度も女の人を襲ったと噂があった男だと分かった。須美子も襲われたのだろうと考えられた。
 京介は十三年前の犯人は須美子だが、須美子が服役すると母の介護をする人が居なくなるので、須美子に母を託して殺害を認めたと思っている。今回は須美子の後をつけた内堀恭作が石出がマンションを出たのを見、石出の部屋で須美子を殺し、石出がマンションに帰ったのを見てから管理人に女の叫び声云々と電話を入れたと考えている。一つ一つ考えても警察の考えを覆す証拠がない。裁判で内堀恭作を告発するしか手はないと思った。柏田はそういう弁護を許さなかった。
 須美子は石出の母を看取った後、石出の母が歌った山中節を頼りに山中温泉に行った。そこで須美子と石出が従兄弟であることが分かった。その山中温泉で内堀と会った。内堀には妻も子もいた。須美子に言い寄るが須美子は妻帯者とは付き合わないといい、離婚すると言っても自分は結婚する気はないと言った。そんな須美子を東京で見かけ後をつけることになった。
 京介は内堀を知っていた。十八年前、北海道で友達の姉・福沢波留美がひき逃げにあった。その時、犯人と思われたのが内堀恭作・その頃は嶋尾恭作だった。ひき逃げに使われた盗難車に恭作の指紋が残っていたにも関わらず警察に圧力がかかり、逮捕されず彼はいなくなった。養子になり名前を変えて加賀にいたのだ。恭作は自首した。京介に須美子が波留美に見えた。波留美に復讐されたのかもしれないと言った。
 須美子は石出に何を言おうとしたのか。石出は十三年前、事件の後母親の手の血痕を見て、襲われている須美子を助けたのは母親だと思っていた。母親の身代わりになったとおもっている石出に申し訳ないと思っていたのだろう。
 検事からの控訴取り消しの申し入れを断り、裁判で無罪を言い渡される事をえらんだ。
 

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