2017年7月13日木曜日

秋山久蔵御用控㉙ 花見酒

秋山久蔵御用控㉙ 花見酒 藤井邦夫
 年始客 久蔵の留守に、信濃国松坂藩家臣・望月左馬之介が来た。左馬之介は久蔵が心形刀流の伊庭道場の師範代の頃の弟弟子だった。松坂藩を調べていると、左馬之介と思える者が松坂藩江戸留守居頭・石原惣兵衛を斬った。国許の三才の側室の若様と江戸の十六才の姫様に養子を貰う考えの者との対立があった。江戸家老・高木行部等と暗殺しようとする左馬之介たちの間に入った久蔵は、対立を知っていると言い、このまま対立すると公儀に届け出る。話し合いで解決することを奨める。左馬之介たちを引かせる。久蔵は高木にじっくり見物させてもらうと言い引く。左馬之介は秋山家に年始に訪れ、松阪に帰って行った。
 狐憑き 如月 神楽坂に狐憑きの若い女が現れるという噂が立った。見物人が集まる。そんな中、若い侍・旗本竹本家次男・倫之助が殺されていた。倫之助の仲間・佐原真之丞も殺されて見付かった。もう一人の仲間・下平伝八郎を殺そうとした時、扇屋京扇堂の忠左衛門が捕まった。忠左衛門は金を強請られ殺したと言うが、娘・さよが関係していると思われる。しかし旗本の二人はは病死と言う届出のために忠左衛門は咎めなしになった。
 花見酒 弥生 丈吉が赦免船で島から帰ってきた。丈吉は五年前言い交わしたおんな・ふみを襲った男を殺した。久蔵と弥平治は丈吉がどう動くか心配していた。ふみは五才の女の子を連れた浪人・夏目左内に求婚されていたが、子どもも懐き世話もしているが、丈吉のことを考え断っていた。丈吉が殺した男の兄・谷中の清蔵が丈吉に懸賞金をつけた。左内は清蔵の元にいる。丈吉が見付かった時、左内は清蔵を斬った。丈吉を捕まえても懸賞金は出無くなった。清蔵の悪辣さのため左内は解き放ちになった。丈吉は島で死んだとふみに伝えて欲しいと言い、姿を消した。
 飼殺し 卯月 瀬戸物屋の忠兵衛が刀で殴り殺された。二千石の旗本・作事奉行大石主計の嫡男・一学が犯人と思われた。大石主計の弟・大石兵庫が自首してきた。主計は部屋住みの弟を嫡男の身代わりにした。兵庫は直心陰流の遣い手で料理屋の板前をしていた。久蔵は一学が勾かしのお尋ね者と一緒に賭場にいる時に踏み込み全ての者を捕縛した。主計は久蔵を呼び出し百両を渡そうとする。受け取らない久蔵を暗殺しようとする。兵庫が刺客として久蔵の前に現れる。久蔵は兵庫に大石家を捨て、己の好きな道で生きることを奨める。兵庫は両親の形見と刀だけを所持し、裏門から屋敷を出た。一学は辻斬りを認めた。勘当され浪人として死罪になった。主計は閉門蟄居、家督相続者が無いまま家は断絶になる。
 久蔵は兵庫の小料理屋を訪れた。

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