出世侍〈四〉 正直者が損をする 千野隆司
玩具の弓矢 小出家の弓道場と裏門棟の修繕と屋根の葺き替えをすることになった。用人頭・杉野文左衛門は瓦職・初兵衛に頼むが、用人下役・堀越源六が初兵衛より安い銀兵衛に変えてしまう。四十両を渡し、当日待っても銀次郎は来ない。棟梁・銀次郎とは全く違っていた。騙りに遭った。藤吉の所為にされ藤吉は、岡っ引き・市次に助けられ偽・銀次郎と仲間を捕まえる。四十両を取り返し帰ったが、取り返したのは堀越ということにされる。南町与力・平田一之進が殿様に御礼に来たため、堀越の嘘が判り、堀越が偽・銀次郎から五両貰っていたことも判り堀越は屋敷から追い出され、藤吉は三十五俵の用人下役になった。
先手弓と持弓 先手弓組と持手弓組との弓対決が行なわれる。小出長門守直孝の家臣・都築大三郎は小出家の中小姓だが隊士に劣らない。弓で認められどこかの養子にという願いがあった。材木が倒れ、持手組の一番手が腕を折った。藤吉は都築が材木の裏にいたことを調べた。持手組の三代が浪人に襲われたところを助け、浪人を捕まえ、都築の母親に頼まれたことを知った。大会の最後、都築の最後の前に三代を狙った浪人が捕まっていることを教えた。都築は失敗し、持手組が勝利した。小出の殿様は今回はこれでいいと言った。都築は辞めさせられた。
婿の誘い 藤吉が以前仕えた永穂家の嫡男・忠太郎の友達・瀬尾祥太郎が勾引かされた。忠太郎に頼まれ、藤吉は祥太郎を探し出す。
家禄二百五十俵お目見え、新御番衆の香坂家の婿になれという話が藤吉にきた。藤吉は千寿の婿になるという誰にも言えない野心があったが、楓という娘と祝言を挙げた。楓は病気でもう死が迫っていた。楓は藤吉が好きだった。藤吉に手を握られて亡くなった。
藤吉は将軍にお目見えした。香坂藤吉になった。
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