2017年7月29日土曜日

蘭方医・宇津木新吾⑤ 魔障

蘭方医・宇津木新吾⑤ 魔障 小杉健治
 文政二年 1829年
 医者が匙を投げた病を祈とう師・鬼仙院が治すということが四回も起こった。大黒天魔王の祟りだと言う。鬼仙院のまやかしを暴こうとした天栄院も病気に罹り、鬼仙院に治してもらう。毒を飲まされ、毒消しで治している。鬼仙院が殺された。
 寒川家に頼まれ病で死んだように見える毒と毒消しを作り出した一風斎は、鬼仙院に毒薬を託して亡くなった。鬼仙院は高値で売りつけようとした。四人は毒薬と毒消しの効能をみせるための試しに使われた。鬼仙院が薬だけを渡し、毒薬作りの書きつけを渡さなかったために疋田嘉門に殺された。書きつけは新吾の手を経て幻宗の手に渡ったが竃にくべられた。
 宇津木新吾は二組の者に命を狙われる。一組めは、養父・順庵が結婚を進めている表御番医師・吉野良範の娘・園と言い交わした畑次郎に頼まれた侍の兄弟だった。香保と一緒になることを決めている新吾は断っている。順庵に良範は養子にしようとしている事を話すと順庵も断った。
 もう一組は、香保の友人・吉弥に頼まれていた。吉弥は香保を見捨てて園に乗り換えた新吾を恨んでのことだった。吉弥に香保の居所を聞いた新吾は妻になって欲しいと申し込む。順庵と香保の父・上島漠泉が話をし香保が来ることになった。

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