2017年8月8日火曜日

神様の御用人5

神様の御用人5 浅葉なつ
 天孫の鏡 鹿児島の邇邇芸命(ににぎのみこと)の所に行く。伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)が作ってくれた神面がしゃべってくれなくなったと言う。面の声を取り戻して欲しいという頼みだった。
 宮崎にいる穂乃香の所に邇邇芸命の妻・木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)が現れ、御用人に邇邇芸命の御用を無視してと言ったと連絡が入った。
 邇邇芸命は、結婚した佐久夜毘売と一緒にきた姉を返し、生まれた子どもを自分の子では無いのではないかと言った。佐久夜毘売は一人にして反省を促すために富士山に行った。しかし、邇邇芸命からの謝りの言葉も無く、神面と話しをし、神面の言う通り行動するようになった。神面を復活させればいつまでたっても己を顧みないだろうと佐久夜毘売は言う。
 良彦は伊斯許理度売命が作鏡連の祖(かがみつくりのむらじ)だと知る。神面は意思を持つ神面ではなく、望む答えと逆を言うだけの鏡だった。過去は変えられない。未来は変えられる。邇邇芸命は佐久夜毘売に謝る。佐久夜毘売は話たかったのだった。邇邇芸命は私が会いに行く。と言う。
 英雄、鳥を好む 滋賀の倭建命に会いに行く。頭部は人の形だが身体は白鳥とアヒルの中間のような状態だった。力が弱まり完全変態が出来ない。完璧な鳥にして欲しい。と言う。
 倭建は十二代景行天皇の次男だった。素行の悪かった兄を殺し、少年の頃に父から西征を命じられる。熊襲建を討ち、出雲建を討つ。帰還した倭建に東征を命じる。平定し戻る途中伊吹山で傷を負い、伊勢の国で息を引き取る。白い鳥になって降り立ったと言われる河内国に陵が造られた。
 良彦は倭建に言う。父親に愛してもらいたかったのだね。だから鳥になって父親が見える所に行った。父親と似た顔だけは変態しなかった。倭建の社を造ってくれた后や子どもたちの方を向いて父親に愛して欲しかった分、子どもを愛して繋がっていけばどうですか。
 倭建が青年に変わった。
 大地主神の恋わずらい 大地主神(おおとこぬしかみ)からの依頼は地鎮祭を藤浪孝太郎にして欲しいということだった。孝太郎は良彦の幼友達だ。今後全ての地鎮祭を担当するように言ってくれという。孝太郎は良彦が御用人だとは知らない。大地主は一日デートでいいと言う。孝太郎には大地主が見えない。孝太郎と良彦と穂乃香の三人で水族館へ行く。大地主と黄金もいる。
 一日の仕事が終わった大工の棟梁が、全員を揃えて「今週も事故無く仕事が出来たこと感謝します。ありがとうございました。」と言ったのを見た。良彦は、大地主神がいることを忘れないから。と言う。大地主神は「なるほど、お前が御用人に選ばれたわけだな」
 えべっさんの草鞋 蛭児大神(ひるこのおおかみ)はえべっさんのこと。小ぶりな白馬・えべっさんの眷族・松葉がえべっさんを探して欲しいと行ってきた。歩けないはずのえべっさんが、草鞋を履いて西宮から神戸、京都、大坂と動き回っている。通天閣近くの「えびす」でえべっさんを捕まえた。草鞋をはいたとたんどこか分からないが、どこかに行かなければその場所を探していると言う。えべっさんはどこかに行ってしまった。
 キスケがえべっさんを助けた後、背負って行った浜の一本松だった。もう浜は無い。一本松も場所を変え五代目の一本松。草鞋はキスケが編み、「エビス神の病気平癒」を祈願して奉納したものだった。キスケが死んでしまいエビスは草鞋をしまい込んでいた。エビスは思い出した。草鞋をはいた意味があるとすれば発展し続ける街を見るためかもしれない。

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