2017年8月26日土曜日

小伝馬町牢日誌③ 秋声のうつろい

小伝馬町牢日誌③ 秋声のうつろい 速水俊
 文政十年 1827年 大賀弥四郎 40才
 朴訥の罪 中間・助蔵が主人・旗本宮本太一郎を殺し牢に入った。弟・兵藤正次郎が兄が助蔵に殺されたことに納得がいかないと弥四郎に言う。
 太一郎は、家斉上覧の御前試合において、見事優勝を果たした。相手向井の顔面に怪我を負わせたことを悔やみ、木刀を持てなくなっていた。妻に暴力を振るった。助蔵の奥様を助ける気持ちと太一郎の足がすくむことが相まって助蔵が主人を殺すことになったなったようだ。助蔵は打ち首になった。妻は自害した。
 幽霊力士 元喜多方藩お抱えの相撲取りだった寅五郎が、客を殴り廃業に追い込まれ、商家に押し入り盗みを働くようになり捕まり処刑された。寅五郎の手形を残す盗人が現れた。
寅五郎がやじを飛ばされ殴った男・彦三郎の財産と命を狙うという手紙が届く。寅五郎に用心棒と浄土坊という修験者が付いた。彦五郎は誰も出入しなかったお堂で殺された。犯人は浄土坊だった。彦三郎は一旦殺された真似をし、生き返って寅五郎と戦う手はずになっていたが、死んだ真似をしている時に浄土坊に殺された。浄土坊は寅五郎の手下だった。
 毒婦 四人の男を次々と殺した女・陽が牢に入ってくる。浮田金五郎は陽に取り込まれてしまう。陽は市中引き回しの上小塚原の露と消えた。浮田は十日の出仕停止になった。
陽は嘘を重ね自分の中で真実になってしまっていたのかもしれない。
 狙われた牢名主 牢名主長兵衛が命を狙われた。命を狙った男・亥之吉を調べると、水茶屋の香が浮かんだ。香の実家・酒問屋尾張屋は長兵衛に押し入られ千両盗まれ店が潰れたと言う。長兵衛を殺したいという香の言葉を聞き、亥之吉は長兵衛を殺そうとした。長兵衛は尾張屋は知らないと言う。博徒・甚五郎は香から長兵衛の隠し財産のことを聞き、長兵衛の命を狙う噂を広げ長兵衛を強請り財産を奪うつもりだった。甚五郎と牢から出た長兵衛は壺振り勝負になったがいかさまだったことが分かり、甚五郎は短筒を出す。弥四郎の「立花陽明流居合道奥伝正座逆手斬り」でやられた甚五郎は観念した。
 亥之吉は騙されていたことを知り、香を刺し、自分も死んだ。
 

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