2017年8月14日月曜日

奈良町ひとり陰陽師

奈良町ひとり陰陽師 仲町六絵
 奈良の中でも歴史的な趣を残した「奈良町」。奈良町の一角にある「くすば菓子店」の息子・楠葉志乃夫20才は奈良ではひとりとなった由緒正しい陰陽師だった。
 小学三年生の時、シノブと同い年の当麻ゆかりは紐を解いたために逃げた狛犬を追って、普通の人間には入れぬ場所へ入ってしまった。普通の人には見えないものが見えるしのぶは祖父と同じ陰陽師になりたくはなかったが、この時会ったご先祖様・天竺ムスル・楠葉西忍に会い、修業すればゆかりと自分がひどいめに遭わないことを聞き、陰陽師になる決心をした。ゆかりは格闘家・当麻蹶速(とうまのけはや)の子孫かな。と言われあやかしを見る力と殴る力を得た。墨香という齢四百年の猫又がお目付け役として黒猫が送りこまれた。
 祖父がなくなる高校三年生まで陰陽師になる基礎の修業をした。奈良県の南部の奥の寺社に登山を兼ねて参拝する。秘伝書「南都要集」の重要部分の暗記。鎮宅霊符神社のお札がよく効くよう呪法をかける。お札を持って行く。
 御水取りの火祭りを待つ、青衣の女の人、ご機嫌斜めな猿沢池の辺の采女神社の女神様、走る大黒様まで現れる、奈良町で不思議を解決する。

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