将監さまの橋 澤田ふじ子
重藤の弓 丹波篠山藩青山下野守家中。京都藩邸の奉公人・杉が有職御弓師・大蔵彦次郎に玩ばれ、孕んで井戸へ身を投げた。嵯峨野で中里又十郎は彦次郎が作った弓で彦次郎を射ぬいた。
将監さまの橋 美濃大垣藩御用所右筆番頭・桃田彦十郎は隣家の大隅高蔵が京都からきた公家髷の男に強請られているのを知り、男を将監さまの橋に呼び出し斬った。
短日の菊 美濃大垣藩右筆頭青山市右衛門31才、妻・弥生31才 妹・妙18才、母・五十緒59才。病で寝たきりになっている。奈倉甚九郎61才。甚九郎は四十一年前仇討の旅にでた。十五年前に仇が亡くなっていたことを知り帰ってきた。藩の手違いで連絡を怠り申し訳ないと御用所の支配する敷地の草庵造りの建物に住むように言われた。甚九郎は夫婦になろうと言い交わしていたのは五十緒だった。甚九郎は畑の野菜を皆に分けていた。妙を見た時、五十緒を思った。五十緒は娘たちの話を聞き、甚九郎と分かった。母が亡くなった。妙は甚九郎に菊の花を貰いに行く。甚九郎は線香をあげたいと申しでた。
花鋏 花生けのために通っていた料理屋吉阿弥の主人の紹介で、升伝の料理屋に嫁いだ八重だったが、升伝の若旦那は遊び人だった。料理長の思い人に無理やり手を出したため料理長が辞めた。吉阿弥から信吉が升伝にやってきた。若旦那は信吉と八重の仲を疑い、八重の花鋏で八重を狙った。信吉が飛び込み信吉は刺される。鋏は信吉から貰ったものだった。八重は升伝から出て行こうと思った。(信吉がどうなったかわからない。)
たつみ橋 葉茶商い「青松堂」の若旦那・弥一郎が一緒になりたいという料理茶屋で働いている桂を見に行き、反対する。弥一郎は加世を嫁にし、二人の子を授かる。五年後弥一郎は死ぬ。吉兵衛は桂に会いに行く。桂には弥一郎の子どもがいた。桂の名義で家を買い、将来団子屋でもすれば生きて行ける場所だった。お義父と呼ぶように言う。
心中雪早鐘 料理茶屋の中居奉公をしているもよにはつき合っている炭問屋の手代をしている吉五郎がいる。もよは三年になる。紙問屋の大旦那仁左衛門が間に入って将来の話をしようといってくれた。吉五郎に話した翌日、吉五郎はいなくなった。もよは仁左衛門と暮らしていた。二年になる。城崎温泉に湯治に行く。もよは吉五郎に会った。二人は心中した。
朧夜の影 元東町奉行所与力・土田宗兵衛と老僕・松吉は石工・九蔵の不可思議な行いから九蔵を調べた。九蔵はある時期まで極道者だった。八年前のある時期から仕事一筋、今では観音様や地蔵様の注文が名指しでくるようになっていた。ある時期とは磯次が掏摸で捕まり処刑されたとき。磯次が磔になった後、前非を悔い、身に鞭打つような暮らしをして磯次の両親と病弱な妹を養っていた。九蔵が磯次に濡れ衣をきせたことは間違いがない。果たして九蔵を捕まえるか?
名付け親 商人の妻・伊勢の適切な処置の御陰で足が不自由になることを免れた小宮掃部助は伊勢の願いを叶えるために尽力する。若い時、亭主の愛人の子どもの名を付け遠いところに養子に出すよう命じた。伊勢は後悔しその娘・雪に会って言葉をかけたいと言う。娘は見付かった。掃部助はありのままを伊勢に話す。
蓮台の月 灰屋紹益と元吉野大夫・徳子の生き方。
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