大江戸人情見立て帖 濡れ衣の女 早見俊
関口平九郎32才 旗本二百五十石小普請。刀研ぎと刀の目利きを仕事にする。妻・郁恵33才。兄平四郎の許嫁だったが、婚礼の直前病死した。家督を相続した平九郎に嫁いだ。息子・千松5才 母親に内緒で三味線を教える。
卯之吉24才 湯島天神門前町質屋「万寿屋」の主。母・梅と二人暮らし。
深尾左門三十半ば 南町奉行所臨時廻同心。
三人は同じ常磐津の稽古所に通っている。
呪いの妖刀 平九郎は卯之吉に目利きを頼まれる。南方権十郎が持ってきたのは相州
伝左文字行平だった。次の日、権十郎は五十両借りたいとやって来る。卯之助は刀を見ないで五十両を貸す。出雲屋三五郎が斬り殺された。南方は刀を受け出しにきていた。南方は出雲屋を殺していた。卯之助に預けた刀は偽物だった。南方は出雲屋の賂を貰ったという濡れ衣で藩を追われていた。出雲屋の手代が南方に賄賂を贈ったと遺書を残し自死したのだった。納戸頭大泉又右衛門が賄賂を貰っていた。噂になり調べが入りそうになったので南方に押し付けていた。今回、藩への帰参と金銭を餌に出雲屋殺しを頼まれた。南方は切腹した。平九郎は 刀の目利きのために大泉に会う。出雲屋殺しの話をする。大泉が刀を抜く。平九郎は大泉の髷を切るり、左文字を斬り折る。大泉は調べられ、切腹した。
人情の真贋 二十年振りに卯之助の父・猪之吉に一両借りた権蔵が返しにきた。猪之吉は暮らしに困っている人に一両を貸していた。一両を返し、利子だと十両を置いて行った。一両は本物だが十両は贋金だった。左門が雲の佐助一味の人相書きを出す。権蔵の顔があった。権蔵が万寿屋に来る。十両が贋金だった。知らなかった。博打で稼いだものだった。自分は泥棒一味だと言う。奉行所に自首した。雲の佐助一味と賭場に出入していた贋金作りの一味も打ち首になった。権蔵は遠島になった。
濡れ衣の女 三年前、匕首を持って暴れ回る紋次郎を左門は斬った。紋次郎の嫁が衣だった。衣は柳橋の炭問屋駿河屋の主人・徳次郎の妾になっていた。徳次郎が殺され、家に入ったのは衣だけということで衣が犯人だと思われた。左門は納得がいかない。
二年前、与力と米問屋の不正を摘発しようとしたが、叶わなかった。上役に疎まれ首になりかけたが、与力同心の弱みを握っていたため定町廻を外されただけで済んだ。しかし奉行所の中では浮いた存在だった。また鼻摘み者になるかもしれない。妻・房枝は正しいと思うことをしなされと言ってくれる。
徳次郎の女房・道と関係を持っている男・短刀投げの曲芸師・団右衛門だった。道は百両を団右衛門に渡す。左門が現れ、団右衛門は捕まった。左門はまた余計なことをしたと見られた。
武士の矜持 武家屋敷に泥棒が入る、閻魔の籐兵衛がいる。平九郎は刀の目利きのため書院番組頭木島陣十郎宅に行った。盗賊が遁げてきたら斬捨ててやる。と言っていたが、籐兵衛は何もできなかった。前の御前試合の決勝で相手を木刀で敲いてしまい相手は亡くなっていた。そのため足がすくんで打ち込めなかくなっていた。
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