2017年10月3日火曜日

鬼役〈二十二〉 宿敵

鬼役〈二十二〉 宿敵 坂岡真
 迷える燕 寛永寺黒門前で奥儒者・成竹図頭柳斎が殺された。殺したのは山同心だが通りかかった綾辻勝成が犯人として山同心に捕まった。綾辻勝成は蔵人介の妻・幸恵の父親だった。勝成は時々娘の顔も分からなくなる。
 勝成は逃げ出す。日光奉行と目代の下され金の着服を記した裏帳簿を盗んだ阿部伊勢守の
隠密と一緒に逃げた。悪事の裏には金座がいるようだと言う隠密は殺される。死人の顔は「鬼役の業」と名乗る鬼役に斬られた亡者の恨みのため鬼役を殺すという。勝成は阿部家の下屋敷に匿われる。全てを話し眠り続ける。日光奉行と目代と配下の成敗を命令される。
 日光奉行は死人の顔が殺していた。
 勝成は山同心に捕まったことなど忘れてしまっていた。
 悲恋花 卯三郎は矢背家の養子になって二年、二十一才になった。蔵前の札差・萬田屋の娘・なつを助け、なつの用心棒を頼まれる。勘定吟味役・高岩啓悟・家禄三千石が萬田屋から借金して周囲にばらまき今の地位を掴んだ。萬田屋の二千両を越す借金の棒引きを狙っている。北町奉行所猿屋会所掛かり同心・郡司忠成と繋がっている。
 卯三郎は萬田屋亀右衛門になつが恋情を持ったようだが、萬田屋の婿にはなれないでしょう。と言われ、もう会えないと思った。
 遠山左衛門尉と亀田屋が高岩啓悟の殺害を頼んできた。亀田屋は六百両出すと言う。蔵人介も卯三郎も返事もせず立ち去った。
 なつが勾引かされた。亀田屋に廃業しろと言ってきた。なつを探し出したが手込めにされ舌を噛みきっていた。卯三郎は背負って帰る。卯三郎は高岩と郡司と朝日奈をなつの仇と狙った。卯三郎は罠に掛った。御用提灯を持った捕り方に囲まれた。朝日奈を討つ。高岩家では勘定奉行就任の内示の使者を待っている。駕籠から降りた御使い番が口上を述べる途中、駕籠に随行した蔵人介が刀を抜いた。蔵人介は消える。卯三郎は郡司を斬る。
 果たし合い 水戸斉昭の側室・松島とその父親・川西豊国の殺害を命じられる。松島は家斉の八女・峯姫が先代斉脩に輿入れの侍女として随従し、斉脩亡き後、新当主の側室となっていた。陰陽師の実父を伽衆にしていた。大田備後守は松島の一言で老中を辞めさせられることになった。蔵人介も個人的に調べてみることにした。
 蔵人介の母・志乃は、伝通院で商人の父娘が薙刀を振りかざした女官に白刃を向けられていた中に割って入った。志乃は名乗り、喧嘩をふっかける。
 蔵人介は水戸家に入っている太田家の隠密・水戸家奥右筆・太田家宿老の孫・由比彦四郎と会う。天下祭りの日、混乱に乗じて誰かの命を狙う企てがある。祭りの時、術に掛けられた牛若丸に扮した男が姉小路に斬り付けた。蔵人介が阻止した。
 松島親子の後ろにも誰かがいるようだ。水野越前守の機嫌をとるために水野の邪魔になるものを斬捨てて行く。
 彦四郎が殺された。橘は前に出した命令を撤回する。蔵人介は松島から志乃宛てに来た果し状を利用することにした。志乃は松島を倒し、蔵人介は豊国を倒す。逃げた茎崎は幸恵の弓が刺さり、橘右近が斬捨てた。

雖井蛙流(せいありゅう)

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