2017年10月23日月曜日

着物始末暦(五) なみだ縮緬 

着物始末暦(五) なみだ縮緬 中島要
 神の衣 玉は大隅屋に嫁入りしてからも娘のような格好をしていた。姑の園が娘が欲しかったと振り袖を出してくる。瓦版にまで大隅屋の内儀・園の派手好みと娘の格好をした嫁の話が載せられる。桐屋の先代が世話になった紙問屋・天乃屋の若旦那・玉の幼馴染み・礼治郎が現れる。みつは余一に園の着道楽をやめさせる方法を相談する。園の着物を売り古着を寺に寄進し配った。園は年相応の格好をし、玉は丸髷にした。
 吉原桜 余一は唐橋花魁の妹分の紅鶴に「いろはの打掛け」を始末することになった。いろはの打掛けは唐橋の打掛けを唐橋の恋の喪服に仕立て直した物だった。してはいけない恋の別れをを妹分のために乗り越えるための打掛け。紅鶴から御新造に思いのまま話しなさいと忠告される。玉の気持ちを理解する。
 なみだ縮緬 大隅屋の余一への礼を糸が縫い、余一に届けたとき、余一は糸にもう来るなと拒絶した。拒絶された糸は倒れる。助けたのは天乃屋の礼治郎だった。礼治郎は糸の余一に対する気持ちを知りながら求婚する。礼治郎は母親の振り袖を糸用に余一に始末を頼む。余一は糸に幸せになって欲しいと言う。礼治郎は十年前から糸のことを見ていたと言う。余一は糸が縫った着物を着て振り袖を持ってきた。背紋にだるまの刺繍が入っていた。
 未だ来らず 余一は自分の生まれの所為で所帯を持ってはいけないと思っていた。自分に糸を巻き込みたくなかった。
 市村座の山川雪弥の大名の隠居から送られた衣装を千吉が盗んだ。雪弥はその振り袖で隠居の前で踊らねばならなくなった。余一は白無垢に本物の南天の葉を縫い付けた。雪弥は踊った。師匠が立派な衣装に頼ることなく踊ってごらんとけしかけたと隠居に言った。気合いの入ったいい踊りだったと言われた。千吉は着物を返しに来た。千吉は六助の店で面倒をみることになった。
 

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