新・のうらく侍② 恋はかげろう 坂岡真
天明六年 1786年
葛籠桃之進は金公事方から西ノ丸留守居になった。
恋はかげろう 十里四方鉄砲改方組頭・根本彦四郎の妻・八重が手形の発行を願い出る。
八重の父親は大垣藩勘定吟味役だった。勘定奉行・藤崎大膳の不正を調べる途中で切腹させられる。八重に国家老に渡すよう遺言状を託されていた。八重の夫・根本彦四郎の大垣藩御用達米商人・美濃屋との鉄砲の横流しの現状も書かれていた。美濃屋は米の売り惜しみ、自作自演の打ち壊しで米不足を印象づけていた。桃之進は米屋を調べるように命令される。
命令は米問屋の不正を調べることだったが、米相場を高騰させるため暴徒に蔵を襲わせたことを明らかにし、暴徒に流れた鉄砲の入手経路を解明し、暴徒を操っていた藤崎大膳のことも明らかにした。
留守居役・秋山頼母の用人・下村久太郎から伝えられた秋山の言葉は「出る杭は打たれるゆえ、自重せよ」だった。褒美として八重の手形がでた。
百足屋の女房 元北町奉行所年番方与力・漆原帯刀が小石川薬園奉行となっていた。桃之進は養生所で医師・石野誉と見習い医師・若杉を知る。石野は御薬園で栽培を禁止されている高麗人参を栽培していることも知る。若杉が家禄三千石の旗本・益田家の次男・半六に人参を横流しをしており、前奉行を辻斬りに見せかけ殺していたことも知った。高麗人参を栽培していることを知った漆原は薬種問屋越中屋に賄賂を貰い知らぬ振りをすることにした。懐柔が効かない石野は謹慎になる。半六が越中屋に流し、医師・高見沢念朴が使う。念朴は養生所医師になるかも知れないという。若杉が遺書を残し遺言を残し自死した。
桃之進は半六が漆原を殺そうとする所を助け、半六から詳しいことを聞き出す。
越中屋が捕まり、石野が養生所に戻った。御楽園での人参栽培も許可された。
呑みこみ山の寒烏 一橋治済の側室・梅ノ方の実父の寺・石宝寺の本尊の石を削って作り出す化粧品・うさぎ香が大人気。うさぎ香を使っている者が五人亡くなった。桃之進は調べるよう命令される。桃之進と秋山の姪の吉とうさぎ香の調べる。吉は田沼のくノ一だった。住職・栄春の儲けを御側御用取り次ぎの奥津左京太夫が吸い上げていた。栄春は女に曼荼羅華を飲ませていた。五人は犠牲になった女達だった。栄春を殺す。奥津からお梅の方に送られた治済の毒殺を命じる密書を手に入れた阿部備前守の隠密・腰塚孫兵衛から密書を託される。腰塚は殺される。阿部家に行くが門前払い、秋山に見せる。奥津と梅の方を亡き者にする密命を受ける。お梅の方は人形市の雑踏の中、人目が別の場所に集中している瞬間すれ違いざまに斬った。奥津と家臣・入江も斬る。桃之進は厠で阿部備中守に腰塚の名前名乗り書付と出納帳を渡す。陣羽織を頂く。
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