2017年10月2日月曜日

新・酔いどれ小藤次〈八〉 夢三夜

新・酔いどれ小藤次〈八〉 夢三夜 佐伯泰英
 文政八年 1825年 正月
 小藤次、りょう、駿太郎の三人は初めてりょうの実家・北村舜監宅へ年賀に行った。年賀の品は久慈行灯だった。
 駿太郎が掏摸を捕まえた。南町奉行・筒井政憲から報償として小藤次は眼鏡、りょうは天竺の絹物、駿太郎は元服の装束を賜った。
 小藤次は二度、三度と命を狙われていた。命令したのはりょうの兄・靖之丞だった。実家の御歌学者の分家百七十五石を嫌った。本家の代理として歌学方を務めることを嫌った。分家の跡継ぎを嫌い、旗本伊丹家の佳奈に婿入りし、御使番千石の要職に就いていた。舅が亡くなり、遊びに手を出し借財を作り伊丹家から籍を抜かれそうだ。靖之丞は御歌方を継ぎたいので本家の跡継ぎとして推挙して欲しいと言ってきていた。舜監は断った。
 靖之丞が小藤次を殺しに現れた時、舜監が息子を倒した。小藤次は伊丹家の当主・靖之丞が実家で病死したと老中・青山様と南町奉行所と伊丹家に知らせた。

0 件のコメント:

コメントを投稿