2017年10月8日日曜日

着物始末暦(三) 夢かさね

着物始末暦(三) 夢かさね 中島要
 菊とうさぎ 古着屋の六助は様子のおかしな男が置いていった着物を返しに行く。余一が書いた人相書きで直ぐに男がわかった。余一に着物の始末を頼みにきた千吉が知っていた。男の娘・さよはその着物を着ている時に男に襲われ、着物を見ると思い出し外にも出られなくなる。余一は着物が悪いわけではない。と前に夜鷹が着ていた総絞りの始末をした振り袖を見せる。今、夜鷹は幸せになっていると話す。
 総絞りの振り袖は、踊りの師匠に貸す。師匠の弟子のお見合いに使う。見合いは無しになったというが貸してきた。返しにきた時の話では見合いをしたのはさよだった。
 余一と六助と千吉は、夜、さよが襲われた所を張り込み、千吉を襲おうとした男を捕まえる。脅し裸にしてくくり「付け娘を襲いました」札を吊り下げておいた。
 星花火 大隅屋の綾太郎の所に、菓子司・淡路堂の主人・綾太郎の幼馴染み平吉の父親が、遊び心の洒落っ気のおある着物の見立てを頼みにきた。綾太郎は自信がなく無難な見立てしか出来ない。余一に相談に行く。後日、余一と綾太郎は淡路堂に行く。余一は着物の裏に星花火を描いた。余一は淡路堂が新作星花火を作った時の気持ちを言い当てる。
 淡路堂は新作「錦」を出す。平吉の妹・三和の考えた落雁に餡が入っている菓子だった。三和の願いで祝い菓子として売り出す。余一は「芯の強いお嬢さんだ」と言う。
 薬種問屋杉田屋に婿に行った平吉が綾太郎に会いに来る。三和は綾太郎が好きだった。一緒にすると言う話もあったが、平吉が吉原に行くようになり、話は無くなった。今回の新作は綾太郎の祝言のために三和が考えた菓子だった。錦は綾錦と呼ばれることが多い。等話し手帰った。
 面影のいろ 糸は母親・くにの初恋の人に会った。敵討ちに西国に行った浪人だったが、町人になっていた。くにから貰ったお守りを持っていた。汚れていたので余一にきれいにして貰いたくて預かったが余一はしたがらない。返すつもりで行くと、「桐屋」のお嬢さんを勾引かすというのを聞いてしまった。糸は捕まり襲われる。余一が助けに来るが、仲間の女に助けられる。誰にも言うなと言われたにも関わらず、桐屋に知らせる。
 糸は「自分の染みは落とせないのなら、代わりにわたしがやってあげる。迷惑だと言われても離れてやらない」と余一に言う。桐屋には祝言を辞めろという脅しが来ていた。
 夢かさね 仲が上手くいかない桐屋の母・輝と娘・玉。玉付きの女中・みつは余一に相談に行く。江戸一番の札差・後藤屋の娘・輝が着た花嫁衣装を玉は着た。父と母を呼び、心の中をさらけ出す。輝も比呂に対する気持ち玉への気持ちを喋る。花嫁衣装を着た時の比呂の思い掛けない言葉。余一は言う。あまりにも見事過ぎて花婿とのつり合いが・・比呂の言葉はそのための言葉。少しは二人の気持ちが通ったようだ。
 みつは、桐屋の秘密を打ち明けられる。桐屋の先代は駆け落ち者だった。人別を偽っている。比呂は京都の呉服屋「井筒屋」の娘だった。
 井筒屋が江戸店を出す今、江戸店の主人になる愁介に後藤屋の孫・玉を嫁に欲しいと言って来た。光之助は断った。それで脅し文が来て、嫌がらせが始まったということだった。




今井絵美子さん死去

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