2017年10月25日水曜日

沼里藩留守居役忠勤控② 果断の桜

沼里藩留守居役忠勤控② 果断の桜 鈴木英治
 深貝文太郎は志津を殺されてから五年、誰が殺したか。そればかり考えていた。妖刀・三殿守を使って辻斬りを繰り返していた右馬介を捕らえた時に言った、きさまは楽にさせぬ。必ず苦しませてやる。調べているが何も掴めていない。五年前、高足惣左衛門が三殿守を探していた理由を殿様から聞いた。惣左衛門は一年前に亡くなったが、最後まで文太郎に黙っていたことが気掛かりだったようだと殿様から聞いた。
 文太郎は深貝に養子に入ったが、志津が亡くなり、義母・八重は実父を介護するため実家に戻っていた。八重は九百五十石岩永家の娘・玉枝を奉公人に見付けてきた。
 道場で手合わせしていた大瀬彦兵衛が二百両を横領したことを遺書にしたため道場で自害した。殿に知らせる役を頼まれる。殿は二百両何に使ったか調べるように言われる。
 大瀬には妾がいた。話を聞きに行くと良江は首をくくって自死していた。岡っ引き・岩造は良江が後追い自殺をするような者ではないと言う。号泣する妹・光江を見た。
 納骨の寺で出会った留守居役・植松新蔵は思い知れと言いながら、僧侶、若い女、行商人、浪人と四人を斬り殺した。登城される殿に連絡すると急ぎ原因究明するように言われる。植松は昏睡状態だった。
 文太郎は四人の身元を調べる。浪人は村田鍛之助、賭場で知り合った僧侶・晃然、晃然の情婦・良江の妹の光江、光江が商人の妾だったときの密通相手・権八の四人だった。大瀬が死ぬ前に自分の仇討を植松に頼んだ書面が見付かった。横領を良江に知られ、良江の仲間に強請られ、自死の道しか残されていないと考えた。植松は三度、母親の徘徊、新蔵が無頼の者に因縁をつけられた時、幼い娘が病気の時、大瀬に助けられていた。書面を見、大瀬の無念を晴らした。殿様に書面を見せる。お取りつぶしは無いだろうと城に上がる。
 文太郎は良江に大瀬の横領を告げたのは大瀬の妻・紀美世だったことを確かめに行く。妾に子どもができたことが許せなかったようだ。文太郎は内儀がしたことがどんな風を起こしたか知っておいて欲しかったと言い帰る。
 文太郎は黒装束に黒頭巾の男に襲われる。文太郎の腕を試しに来たようだ。志乃を殺した下手人かもしれないと思った。心の声でまた会おうではないかと言った。
 
 
 

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