2017年10月6日金曜日

秋山久蔵御用控㉚ 野良犬

秋山久蔵御用控㉚ 野良犬 第一部完 藤井邦夫
 野良犬 皐月 五月
 久蔵は不審な侍を見付ける。五年前五千石の牧野忠政の息子・右京が辻斬りを働き捕まえた。その時に斬った取り巻きの浪人の弟・相良又四郎だった。相良は久蔵を狙っていた。相良は牧野と繋がっていたが、相良を斬り、牧野を訴えなかった。牧野は病床にあり死ぬ前に息子を切腹に追い込んだ久蔵に恨みを晴らしたかった。五日後亡くなった。
 紫陽花 水無月 六月
 久蔵が急な雨で京屋の店先で内儀に借りた青い蛇の目傘を翌日太一が返しに行くと京屋の内儀・りんが殺されていた。昨日殺されたようだ。久蔵が傘を借りた女ではなかった。主人の佐吉は小間物の行商をしていた。佐吉も殺されて見付かった。夫婦はお金が必要な女に男を斡旋していた。辞めようとした日下美保を世間にばらすと脅迫した。夫・日下正吾が二人を殺していた。久蔵に刃を向け、斬られた。正吾は病気で先がなかった。美保の重荷にならずにすむと言い残した。
 結び文 文月 七月
 神崎和馬の屋敷に根岸の茶の湯の宗匠・一色宗風は、盗賊霞の十兵衛だ。という文が投げ込まれた。宗風を見張ることと文の主は誰かということを調べた。
 一色宗風と暮らしている娘・さよ。さよは十五年前公金横領の罪で切腹した金同心・島村平内の娘・文だった。島村平内は濡れ衣を着せられ、本当は島村の上役・大木弥十郎だった。一色宗風が大木弥十郎だった。十兵衛一味を捕まえている時、文は大木を殺す。文は江戸所払いになった。秋山は取り調べの後、文に仇討をさせるつもりだった。文は姿を消した。
 産み月 葉月 八月
 刀剣商「誠心堂」が襲われ皆殺しにされ旗本三千石大野弾正から持ち込まれた村雨が盗まれた。村雨は御家人・篠崎新兵衛から三両を置いて無理やり取り上げたものだった。新兵衛の妻・志麻の弟・三枝蔵人の仕業だった。自分の物としていた蔵人を斬り、新兵衛に返した。誠心堂事件は三枝蔵人と見定めた。大野弾正の村正を手に入れた手口と、篠崎新兵衛夫婦の口を塞ごうとした事実を目付けの榊原采女に知らせ評定所扱いになった。
 秋山久蔵の長女は「小春」と名付けられた。

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