2017年10月31日火曜日

栄次郎江戸暦18 微笑み返し

栄次郎江戸暦18 微笑み返し 小杉健治
 矢内栄次郎は八丁堀与力・崎田孫兵衛から海産物問屋美浜屋の相談に乗ってやって欲しいと頼まれる。若旦那・藏太郎が呑み屋の女に誘われ泥酔し、目覚めたら女は消え横に男の死体があったと言う。慌てて逃げ帰っていた。栄次郎は調べ始める。
 一ヶ月に一度大店への押し込みが続いていた。昵懇になった女を家に入れた時、押し込みが入り、女を人質にされ鍵を渡し、お金を取られていた。
 栄次郎の調べで、次の狙いが美浜屋だったと思われる。美浜屋に藏太郎の煙草入れが証拠だと強請に来た。今夜五百両取りに来るから開けておけということだった。尾けるが火盗改に邪魔される。夜捕り方が待っていたが現れない。火盗改が強請に来た者を捕まえていた。手掛かりが無くなった。
 栄次郎は、太物問屋「山城屋」の幸兵衛の名取りの披露の三味線を弾くことになった。幸兵衛は幼馴染み・安太郎と会い嬉しそうだった。心ここに在らずのようになり、次に会えば打ちひしがれ名取りも取りやめになってしまった。栄次郎は幸兵衛から話を聞く。安太郎
と一緒に会った女の虜になり家に入れた日に押し込みにあっていた。
 栄次郎は幸兵衛の話から霞小僧と呼ばれた押し込み一味の塒を突き止め頭目の富五郎と情婦を捕まえ、山城屋から盗られた千両も見付けた。
 幸兵衛は養子で離婚されそうだった。内儀は幼馴染みと仲よくなり幸兵衛を追い出して後釜に収まろうとしているようだ。幸兵衛は山城屋のためにならないとそれだけは駄目だと強く言う。栄次郎が乗り込み千両が見付かったこと霞一味の頭目が捕まったことを伝え、安太郎が仲間であることを言う。安太郎は栄次郎に取り押さえられる。
 幸兵衛は山城屋に残りやり直すことになった。名取りのお披露目は取りやめた。
  
 栄次郎の兄・栄之進の嫁取りの話があったが、相手は千石のお姫さまで矢内の家敷を見にきて話は潰れた。栄次郎の父親が大御所であることを知って計算が働いたようだが娘は乗り気ではなかったのだ。母親も我儘な娘を見ればこの縁談を望まないだろうという岩井様の読が当たった。

0 件のコメント:

コメントを投稿