明治・妖モダン 畠中恵
明治二十年
煉瓦街の雨 銀座四丁目の派出所の近くにある牛鍋屋「いろは」は原田巡査や滝巡査の行きつけの店だった。主は百木賢一、通称百賢。妹のみなよが女学校に行きながら手伝っている。みなよを好きになった金持ちの下谷が翡翠のブロオチをプレゼントした。そのブロオチが泥棒の証拠になる。下谷はみなよを皮に流した。原田は下谷を鎌鼬に見せころした。
赤手の拾い子 原田と滝のいる派出所に、拾い子だという子どもが届けられた。届けられた時は三才ぐらいだったが、二人がいろはに連れて行った時には六才ぐらいになっていた。おきめという子はダイヤモンドを持っていた。翌日おきめは十才くらいになっていた。ダイヤモンドを持っていることが知れ親と名乗る者た多い。丸加根が我が子だと言って帰らない。そのうちに十六才くらいになる。丸加根が連れて帰ることを阻止しようとした赤手が傷を負う。おきめが行きだがっているのだ。丸加根はダイヤモンドを持たず、おきめを連れ帰り嫁にした。ダイヤモンドを持って行くが幼女のおきめと嫁になったおきめは別の者だと言い張る。赤手はおきめ即ち鬼女だろうと言う。もう自分たちは来ないから決して人を傷つけるな。と言い置く。きめはあんたたちは誰?と言うが返事は無かった。
妖新聞 新聞に妖たちが戻ってきたと記事になった。五人が一遍に死んでいた。調べていた原田に呼び出し状がきた。原田は首を斬られた。五組の殺人の犯人は服毒自殺をした。しかし滝たちは犯人を殺した者、殺人の仲立ちをした者を探した。新聞記者だった。鎌鼬の原田は新聞記者を殺し、川に流した。鎌鼬の原田は本当の原田巡査の身体を時々借りていた。妻と生まれてくる子どものために原田巡査になった。
覚り、覚られ 選挙に勝つため「さとり」を探している者がいた。赤手が行へ不明になる。警察がさとりを探していると言いふらしたかった。さとりがいることが前提で、さとりの予言があったと言う話しを作って当選しようとしていた。さとりを男だと言う青山に高はさとりは山神、山の神。古女房を山の神と言うでしょう。さとりは女、男と言った青山は落選するでしょうね。
花乃が死ぬまで 滝駿之介を探す、四十くらいの夫人・井沢花乃が派出所に現れた。滝巡査と同姓同名だった。十五才の花乃が好きだった滝は書生だった。親の言いなりに三度結婚し、自由になって昔の恋人・滝を探し始めた。花乃には身内がいない。亡くなった夫の遠い親戚が花乃の財産を狙っていた。花乃を派出所の近くに高と一緒に住まわせ匿う。花乃を狙う者を誘い出す。昔、滝と会ったことのある辰次郎は年を取っていない滝を化物と呼んだ。空き巣が仲間割れで殺し合い転んで頭を打って亡くなったことになった。花乃は滝が人ではないと知ったが滝の側で暮らす。
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