2016年8月2日火曜日

浮世絵宗次日月抄 9

浮世絵宗次日月抄 9 皇帝の剣 上 .下 門田泰明
 宗次は後水尾院から誰にも知られず会いに来い。の連絡を貰って京に来た。「東山」という旅館に泊まる。
 五条大橋に弁慶という人斬りが出、何人もの人が亡くなっていた。西条山城守貞頼の娘・美雪の兄・西条九郎信綱が大抜擢で大阪城在番から京都所司代次席になっていた。信綱は宗次が尾張大納言の血筋であることを知っていた。
 刀剣商「浪花屋」、「菫茶房」、六波羅の次郎長、知り合った人の縁り辺を従三位中納言御仙院忠直に殺されていた。浪花屋は峯の夫・貴代造が殺され新刀の大小が奪われていた。菫茶房は宮古の父・従四位下近衛中将八坂小路冬彦が殺され家宝の脇差し『夢扇』を奪われていた。次郎長は息子を殺されていた。
 宗次は後水尾院から この京に、二度と戦乱が生じないように是非努めて貰いたいと言われた。後水尾院は宗次が尾張徳川の血を引いていることも、養父が大剣聖・梁伊対馬守隆房であり、剣の奥義を受けた者であることを知っていた。
 忠直と義弟・従八位上衛門少志御仙院宣房と嵯峨飛天流・斜野小路能師が幕府大老・酒井鵜雅楽頭忠清の宮将軍の話に乗り、野心満々だった。江戸との繋ぎに絵師・峡野栄進法印63才が来ていた。夜ごと現れる弁慶なる人斬りは宣房だった。
 梁伊対馬守の宿敵だった斜野小路の息子・能師と勝負する。能師が倒れた時、御仙院忠直は自死した。
 悠と宗次の初恋旅
 旅館「東山」の娘・悠13才は宗次のお嫁さんになるという。江戸に帰る宗次と一緒に東海道の旅に出る。浪花屋と菫茶房と次郎長と別れの挨拶にもつき合う。峯も宮古も茶道を通し悠の母・節と知り合いだった。悠もよく訪れた店だった。
 浪花屋の奥様・円は江戸対馬屋の柿坂作造の妹だった。浪花屋の御池仁右衛門作の新刀を仁右衛門宗次(にえもんむねつぐ)と名付け頂戴する。
 悠は子供になったり娘になったりしながら大津の宿に泊まる。夜、宿を夜盗に襲われ、悠の側を離れずに夜盗を退けた。悠は後をついて来ていた母を見付け、もう少し母の側にいることにした。
 東山はどうやら、織田有楽斎の血を引く家柄のようだ。

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