からくさ図書館来客簿(第二集) 冥官・篁と陽春の道なしたち 仲町六絵
リボンと人力車 「人力車 いだてん屋」の車夫・宇井隼人は 観光案内のため図書館を訪れた。明治の女学生の格好の幽霊が現れ、車夫を辞めよと言う。相談に図書館を訪れる。隼人が作った偽書は「今様都名所図絵」幽霊は対馬藩京都藩邸に務め、御一新後は京都勧業場に務めた人の娘・毬だった。父を恨む者が人力車に乗っている毬を襲い、毬を守ろうとした車夫・杉野24才と共に殺された。杉野は古傷が痛むのを我慢して走っていたので、現世に留まり身体を壊している車夫を見付けると辞めるよう声をかけるようになっていた。夜の哲学の道を隼人は毬を乗せ走る。毬は天道へ行く。隼人の記憶には篁の親戚の子が病気療養に行く前に人力車に乗りたかったというように置き換えられた。隼人は手術を受け、リハビリに励むことにした。
小猿の宝物 安倍晴明が子供の姿をした式神に荷物を持たせて図書館にやってくる。安倍晴明の生まれは921年、篁は802年。冥官としての経験年数は篁のほうが百数十年多い。にもかかわらず晴明は閻魔庁第三位、篁は十八位と地位は逆転している。上官は閻魔庁にいるのが普通なのだ。古書を持ってくる。閉架式にすることにする。時子に次ぎの術を考えるように言う。
臭覚を失った香木店の娘・曜子に織田信長のお小姓・本多藍丸が付いているのを見付ける。秀吉よりも顔がかわいらしいので小猿と綽名を付けられた。図書館で開香の会をする名目で曜子を図書館に呼ぶ。曜子の偽書は「名香六十一種名寄せ文字鎖」藍丸は信長公の女と蘭奢待を守れと言う命で本能寺から逃げた。蘭奢待を瓶に入れ井戸に投げ入れそれがために天道に行けないでいた。式神が見付けてきた。図書館で蘭奢待を聞く。準備中に曜子の口から臭覚を失った理由を聞く。曜子は蘭奢待を聞くことが出来た。記憶はなくなった。
蘭奢待は香が好きで地蔵盆には近所の子供に香を聞かしているお寺の住職にあげた。藍丸は天道に行く。
篁は師であったが時子に癒されていたことを認識する。
瑞垣 時子を天道へ導いき、篁を冥官に推薦した茜・閻魔庁第十四位が西陣に縄張りをし、現世赴任になった。六花と言うかんざし屋を開いた。茜は篁を「過保護な母親みたいな男」と評する。時子は黒方を聞き、小さい時を思い出す。賀茂の大神からの伝言。
花生けに芸術的なセンスを持つ花梨は時々幽霊を見る。花梨に道なしが付いていることを知った茜は図書館に行くように仕向ける。舞妓・梅ふゆの幽霊が花梨に竹の花入れを壊して欲しいという。花梨の作った偽書は「崑崙草こんろんそう」だった。梅ふゆは記憶を無くしていた。時子は梅ふゆに触れと途端、掌に「瑞垣」の文字が現れた。花入れは瑞垣という名で、梅ふゆの不注意で傷つけたものだった。瑞垣に花を入れ、梅ふゆは必ず花を生けた姿でかざるのならこの世に残ってもいいと天道に行った。花梨は記憶を消す時、幽霊を見る力も消して欲しいという。花梨の花を活ける天賦の才と繋がっていた。花梨は花をきれいだと思う心だけ残された。
鳥めずる若君 五月三日、下鴨神社で流鏑馬神事が行なわれる。
鳥類研究所の蜂須賀は、ユリカモメの群れと旅をしているという鳥部と子供の会話を聞く。平安時代からの鳥の動きを話す。蜂須賀が図書館へ行く。偽書は「京都鳥類図譜」時子の掌に「じょんぐうるど」の文字が現れる。蜂須賀は道なしの鳥部からユリカモメ等鳥類の生態を聞く。鳥部は鳥達の姿を書き残したいと言う。鳥部に閻魔庁の冥官の監視つきで図鑑を編む場所と道具を与えられた。鳥部と話していた子供は一言主様。斎院時代に見た一言主の真似をして、時子は術を得た。
記憶を消された蜂須賀だが、鳥部が書いた一冊目「伴鳥記 一」を図書館で読む。
安倍晴明の母は狐ではなく賀茂氏だった。
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