風烈廻り与力・青柳剣一郎21 秋雷 小杉健治
剣一郎は、19才で亡くなった兄が年を取ったような雲水姿で現れた幻覚のようなものを見、墓参りに行った帰り、一緒にいると心が安らぐ女・くみに会った。自分のことを青痣与力と知っているのか知らないのか判らないが、雨太郎と呼び、何も聞かない。
盆の窪を畳針のような物で差され殺された遺体が見付かるが、身元が判らない。名乗っていた名前も住まいも出鱈目だった。人ごみの中で殺された男も身元が判らない。また、盆の窪を刺された遺体が見付かる。火盗改めの密偵・虎吉により霞の陣五郎の手下だと判る。虎吉が陣五郎の手下・出雲の佐吉に殺される。植村京之進、只野平四郎等は殺された場所、通り道などから陣五郎の隠れ家を探す。
くみの家に度々訪れる。くみは弟・正助を探している。五年前、小田原で錺職人をしていた正助は江戸の小間物屋に誘われ江戸に出た。一年半後に五両、半年後に五両送ってきた。その後、音信不通になっている。くみは妾をしている旦那に三ヶ月の猶予をもらって江戸に来たと話す。
正助は陣五郎一味になっていた。錠前を開ける腕があった。初めての仕事は手間取り起きてきた手代を一人殺した。二度目の仕事は簡単に錠前を開けたが犬が啼き、皆殺しにした。馴染めない正助は逃げたため、処刑された。止めを刺すはずの幹太が、止めを刺さず、括った縄にも切れ目を入れていた。川に棄てられたが助かった。自分の人生を狂わせた陣五郎一味に復讐していた。次の押し込み先と日付を書いて火盗改に密告した。
青柳たちも調べだし、捕り方を配置する。火盗改は忍び込んだ一味を殺して行く。青柳は逃げた佐吉を追う。川辺の船で陣五郎は殺されていた。佐吉は青柳たちに捕まる。追ってきた火盗改に、捕らえて吟味します。殺してしまっては事件の真相を明らかに出来ないという。正助は文七に連れられ、姉・くみに会いに行く。くみは旦那を殺していた。匿ってくれた料理屋のおかみさんに三ヶ月の猶予をもらっていた。小田原に帰り裁きを受ける。
正助は翌日奉行所に出頭した。佐吉も隠れ家、金の隠し場所を自白した。
剣之助と志乃の祝言を挙げようと思うが、脇田清十郎が妻女を離縁した。るいと志乃は仲がいい。本当の姉妹のようだ。るいにも縁談があるがるいは断わる。
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