2016年8月25日木曜日

喜連川の風

喜連川の風 江戸出府 稲葉稔
 天保七年 1836年 秋
喜連川家十代藩主・喜連川左馬頭熙氏25才は名君の誉れ高い。
喜連川藩は五千石、領内の村は十六村。喜連川家は清和源氏の流れを汲む足利将軍家を祖としているから、家格は十万石、参勤交代の義務が無い。城普請、街道の整備、川普請等の賦役も免除されている。
 全国的な飢饉のため熙氏は、備蓄米を貧しい者たちに配り、金蔵は空っぽになった。下級武士の不満が爆発しそうだ。天野一角は下級武士の話を聞き回ろうとした時、江戸へ密書を届ける命を受ける。
 天野一角 上士ではないが八石取りの下士のなかでは中居格 四年前26才の妻を亡くす。息子・清助6才と 七石の同心・松本唯之助26才と徳助の三人で江戸へ行く。
 江戸定府は留守居役・森本作右衛門、添役・山川丹兵衛、右筆・柿沼大四郎 石橋英太郎の四人だった。密書の内容は肥後熊本藩細川家から一万両借りることだった。みんなで顔繋ぎに細川家に行く。
 石橋の案内で上野に行き、殺人事件に巻き込まれる。石橋が犯人の疑いを掛けられる。一角と唯之助と徳助は町中を歩き回り犯人を探す。一角は森本より細川藩の内情を探る命を受ける。唯之助と徳助は町方役人に協力し犯人を挙げる。一角は細川藩の留守居役の側衆・橋谷勘兵衛に近付き、藩の内情を聞こうとする。
 細川藩と宇土藩のもめ事が起こる。宇土藩の藩士が細川藩の藩士・古賀を斬った。二人は捕まったが仲間三人は逃げた。細川藩の藩士四人が宇土藩の三人を見付けて斬ろうとしていた。一角と唯之助は橋谷に知らせ、逃げている三人と狙っている二人を取り押さえる。宇土藩邸を見張っていた二人も取り押さえられる。細川藩と宇土藩で話がついていたことを四人のために大事になるところだった。
 留守居役・森本はこのことを公にしないために一万両を借用したいと話を持って行くつもりだったが、一角は恐喝まがいの借金は辞め、喜連川藩を担保にただ借金を申し込むのが良いという。一角は牢に入れられる。
 一万両借りたいことを初めて細川家に伝える。
 御所様(喜連川藩の殿様)は手紙で留守居役でまとまらなければ熙氏自らお願いに上がると言うことを伝えてきた。森本は細川藩に伝える。一万両を借りる事が出来た。
一角と唯之助と徳助は森本の手紙を預かり喜連川に帰る。

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