仇討ち東海道〈三〉 降り出し三島宿 小杉健治
矢萩夏之介と小弥太は、三島にお万という美しい瞽女がいる事を知り、絶対に新谷軍兵衛がいると思う。調べるが軍兵衛の姿は見付からない。
調べる途中で公儀御用の役人がおかしいと思う。身元の分からない二人の遺体が見付かり、夏之介は三島の代官所手代・正村信次郎に殺されているのが本当の公儀役人だと教える。偽役人は捕まるが共の者・半蔵は逃げた。
天城屋に泊まっていた伊藤のお大尽・利兵衛が殺された。伊藤には利兵衛に該当するお大尽は存在しなかった。
盗賊山猫兄妹の兄・雁助が捕まった。凶暴な弟・雁次郎が逃げている。代官所は雁次郎が兄の処刑時に現れると網を張っていた。夏之介は天城屋に泊まっている三島大社にお参り一行・庄兵衛達が雁次郎の仲間だろうと役人に言う。が見張りも付けられていないようだ。
半蔵が夏之介の前に現れる。自分が道中役人を殺した、相方は半蔵の言う通りにしただけだと代官所の役人に言って欲しいと言いに来た。一旦逃げたがまたやって来た。雁次郎の隠れ家を見付けたという。夏之介たちは動きたくても代官所の捕り方が見張っていて動けない。雁次郎が現れ雁助が連れ去られた。一日たち夏之介が雁次郎の隠れ家へ行くと雁次郎は殺されていた。庄兵衛は雁次郎が二百両は隠しているはずだという。小弥太が隠し金をとり出す、三百両あった。夏之介は庄兵衛に二百両渡し、早く逃げ、足を洗えと言う。半蔵に百両渡し、殺した道中役人の家族に罪滅ぼしに渡してこいという。
夏之介は代官所が雁次郎を殺すために雁助を囮にしたと考えた。新谷軍兵衛が雁助に成りすましていたのだろう。報酬は瞽女のお万との逢瀬。お万の所へ来たところを仇討ちしようと待っていた。が、代官所の横槍が入り、軍兵衛も夏之介たちも牢に入れられる。軍兵衛は未明に出立し、夏之介等は足止めされる。
足止めされた夏之介は正村の思い通りになりましたね。と話しかける。利兵衛は瞽女お万の仇討ちだった。六才の時盗賊・利兵衛に因って父母を殺され目が見えなくなったお万だった。お万が呼び出し正村が斬っていた。お万は知った事を代官所に知らせる密偵になっていた。
夏之介は遅れて三島を旅立った。
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