結城半蔵事件始末〈二〉 御法度 藤井邦夫
赤蜻蛉 町人が数人に武家に殺されるのを見たゆみは人を呼び助けようとするが間に合わなかった。犯人を見ているゆみは、命を狙われる。半蔵は下男・卯之吉にゆみを護らせる。ゆみを襲った者に卯之吉は斬られ、結城家に帰る。ゆみは卯之吉の世話をしながら結城家で暮らす。半蔵の娘・佐奈子はゆみに飾り紐を習う。
犯人は旗本三千石岡田主膳の息子・祐之進付きの家臣・柴田甚八郎だった。主膳は小普請組支配だったが金で役目を買っていることが分かりお役御免になっていた。岡田家が返り咲くには祐之進が家督を継ぐことがいいのだが隠居しようとしない主膳に祐之進は薬を使った。薬を調達した薬屋を殺した。
半蔵は岡田家に乗り込み全てが明らかなのを告げる。祐之進は柴田を半蔵に差し出し切腹を求めるが、放り出された柴田は全てを証言する。柴田は死罪。岡田家のことは評定所に届けた。
御法度 ゆみの長屋に新しく浪人夫婦・青山が来た。青山の命を狙ってやってきた浪人が間違ってゆみの家を狙う。卯之吉が阻止した。豊前神津藩奥村家藩主・大膳太夫の腰元が側室になるのを拒み、家臣・青山と逃げていた。大膳は青山を兄のように慕っていた山岸を追っ手にする。山岸が青山を連れ出している間に、浪人が妻を斬った。青山は藩邸に押し入り討ち死にする。半蔵は神津藩の内情を噂として広めた。半蔵は大目付・永井主水正に噂はほとんどが真実だと告げた。大膳は隠居し家老は切腹、神津藩の法度は多くが廃止になった。
ゆみと卯之吉が一緒になり、結城家で働くことになった。
復讐鬼 呉服屋の菱野屋の主・宇兵衛が心の臓をひと突きで殺された。茶の宗匠・桂田松庵も心の臓をひと突きで殺された。同心・高村は二人の関係を探す。五年前、宇兵衛は松庵と近江屋の忠太郎と遊び回っていた。菱乃屋が傾いた時、お金を貸してくれるところがあって持ちこたえていた。五年前、茶道具屋が火事で何もかも燃え、家族はみんな亡くなっていることが分かった。忠太郎は浪人を雇った。忠太郎を殺しに来た者を捕まえる。忠太郎は刺されたが助かった。殺人者は浪人に殺される。殺人者は五年前火事にあった茶道具屋の主だった。忠太郎は五年前の火付けで死罪になった。
吹溜り 十万坪の新田の外れの木賃宿が浪人の吹溜りになっていた。無頼の浪人の非道な振るまいが目に余る。町奉行所の捕り方が囲み捕まえた。木賃宿の主人・作造は女を助け、捕物の助けをし、斬られる。宿が燃えるのを見ながら亡くなった。作造の身元を調べるが判らなかった。
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