2017年5月1日月曜日

あきない世傳金と銀〈三〉

あきない世傳金と銀〈三〉 奔流篇 高田郁
 幸は大阪天満の呉服商「五鈴屋」の五代目・惣次と一緒になった。
 惣次は手代にノルマを与え、考えて売ることを奨励する。大節季払いを止め、五節季払いにし、手持ち現金を増やす。
 幸は、浮世草紙の後ろの余白に「五節季の五鈴屋」と刷り込むことを思いつく。惣次が手配し、五鈴屋の名前が知られる。傘を五鈴屋ののれんと同じ青みがかった緑色にし、五つの鈴に模した紙を張り、小さく「天満菅原町 呉服 五鈴屋」と書いた傘を百本作る。人気傘になり、名前が知れ渡る。
 惣次が新しい仕入れ先を探している。幸は糸で有名な江州で機織りまですることを提案する。惣次は機織り屋を探し、両替屋の手形を渡し、羽二重を織り始めた矢先、手形発行の両替屋が潰れる。惣次は我関せず何もしようとしない。波村に行くことを進める幸を惣次は手を挙げる。江州波村から機織り元と庄屋・仁左衛門が訪れ、不実な者とは手を切るという。「惣次と組むのは御免や」と。
 幸は「このままでは勿体ないので、縮緬が織れるようになるまで育て上げるまで支援させて頂きたい。」と願う。仁左衛門は幸とは取引をしても良いが惣次とは御免やと言われ、惣次は好きにしたら良いと座敷を出て行く。

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