2017年6月14日水曜日

次男坊若さま修業中③

次男坊若さま修業中③ 名月の出会い 千野隆司
 館山藩一万石藩主・稲葉正己の弟・稲葉正高17は隠居した祖父・稲葉正盛と共に中屋敷で暮らしていた。中西道場と儒学屋敷に通う。祖父が遠縁の広瀬清左衛門の娘・千代21の婿にならないかと言う。四月前に婿が亡くなり、跡継ぎがいない。修業中なので・・・と断る。
 正高が好意を持っている、遊女・たゑに身請け話があるようだ。
 同心・田巻を助け、祖父・正盛のアドバイスを受け、殺人現場を目撃した杉と弥助の命が狙われたのを護り、殺した御家人と商家の主を捕まえた。
 破落戸にからまれている魚油問屋常陸屋の跡取り・吉太郎を助けた。常陸屋は火を付けられた。正高は調べる。犯人に目星を付け、再度火付けをしようとした所を取り押さえる。
吉太郎はたゑを身請けしようとしている男だった。正高は何も出来ない自分を知っている。たゑは身請けされた。
 正高は法事や火事見舞いで千代に会った。
 千代に縁戚になる家禄二千石の中奥御番衆桐山新次郎の三男・新三郎25との縁談が持ち上がった。父親が兄弟だった。正盛に桐山新三郎の暮らしぶりを調べるように言われる。桃井道場での評判も市井での評判も良くない。相手の石高で態度が変わる。強請や美人局をする族を顎でこき使う。後ろで指示する等散々だった。広瀬家は断った。
 千代が勾引かされる。桐山は家にいて桃井道場の弟弟子にやらせていた。正盛が捕まえ、正高が千代を助け出した所へ、二人を斬りに桐山が現れる。千代がいなくなれば桐山が養子に入れるのだ。千代に婿を拒絶されたので殺す事にしたようだ。傷を負っている正高は千代に助けられどうにか桐山を捕まえることができた。一件は公にしなかった。桐山は切腹した。
 千代は礼に小袖を縫ってくれた。正盛は無理強いはしないが「修業は、婿に入ってからでもできる」と言う。
 

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