夜叉萬同心② 冥途の判れ橋 辻堂魁 学研M文庫→光文社文庫
読んだことがあるような。
崩落 文化四年 1807年 八月十九日永代橋が落ちた。権三は追っ手から逃げていた。背負っていた小葛籠を石と石の隙間に入れ、重しをし隠した。目印に鼈甲の櫛を石の間に差し込んだ。
萬七藏41才は七才で父を亡くす。父・忠弼は捕縛した兇徒仲間の意趣返しの闇討ちに遭った。翌年の秋、母・伝が倒れ亡くなった。母の実家・喜代川は本郷の私塾。元同心の祖父・清吾郎に育てられる。十三才で無足見習い、一刀流・富田道場へ通う。清吾郎の世話と所帯の切り盛りのため梅が住み込み出働く。三十五才で定町廻り、三十八才で隠密まわり方に付いた。去年から木挽町地本問屋・文光堂の息子・樫太郎18才が手先になる。今年、樫太郎を小者にし、祖父の隠居所に暮らすようになる。
内藤新宿の菓子処に嫁いだ母の妹・由紀の孫・文13才が萬家に来る。
がえん太鼓 北町奉行所隠密廻り同心・萬七藏は奉行・小田切土佐守の内与力・久米信孝から、駿河台昌平橋内定火消・斉藤右近兵衛雇い万吉を探すことを頼まれた。樫太郎の前の手先・嘉助59才髪結と元掏摸の甲27才長唄の師匠にも手伝ってもらう。万吉のことを調べる。永代橋が落ちた日、川の中で五寸釘を持った男が、まんきち、生かしちゃおけない、と刺されていたのを見た者がいた。万吉の死体は見付かっていない。
樋口屋の娘・糸を追いかけ回していた万吉は、斎藤家火消しの空出の時、樋口屋義兵衛店を襲い、主人義兵衛に死に至らしめる怪我を負わせ、娘、糸を手籠めにした。侍もその他の火消しも笑っていた。糸は中条流の医者の処へ行っていた。糸と一緒になった惣助は五寸釘を懐に万吉をつけ狙っていた。川に落ちる人を落ちた、落ちた、と笑いながら見ている万吉に飛びかかった。惣助は捕まったが、万吉が殺害されたか不明、害意を持って襲った理由は最もなこと、惣助は江戸所払いになった。糸と母・竹は旅支度で惣助と板橋から旅立った。
万吉の実家からお金を積まれた斎藤家与力・黒木傳次郎とがえんたちは惣助を殺しに来た。惣助は首を絞められる。戻った七藏とちょうど江戸に帰って来た永生藩士・鏡音三郎に助けられる。黒木傳次郎は斬首、火消し頭・統八は樋口一家暴虐の罪で敲きのう江戸追放、万吉の父親は惣助に百両を送り、隠居。惣助ら三人は渋川へ旅立った。
前の本では惣助は殺された事になっていたと思う。何で殺してしまうのと思ったことを覚えている。記憶違いか。
川向こうの女 9月下旬、大川河口に公儀番方徒組三番組・林勘助のなぶり殺しにされた死体が見付かった。林は永代橋が落ちた時、川に投げ出された妻・袈裟を探していた。袈裟は記憶を失い、柳家与一郎に助けられ、妻・尋として生活していた。十月、お腹に子どもが出来た。七藏は袈裟の父親を連れて尋に会う。尋は思い出すが、夫・林が殺された事を聞くが、尋のまま家に帰る。家を捕り方が囲む頃、尋は袈裟になり、与一郎の首を斬り愛宕山の本殿の前で自死した。袈裟に付いてきた飼い猫・倫は七藏に付いてきて萬家の一員になった。
散茶女郎の小判 七藏は赤蜥蜴という盗賊を追うことになった。二月、四月、六月、八月
と偶数月に盗みに入り、皆殺しにして行く盗賊集団だ。錠前破りの権三が一味から逃げた事が分かった。権三が現れそうな吉原の常磐を張り込む。常磐の元に権三が現れた時、七藏が来るまでに権三を追う、赤蜥蜴の仲間が現れた。真吾は死んだ。権三は捕まった。赤蜥蜴の全容が明らかになった。旅芸人鬼座、音三郎が藩の命令で接触を図った私塾・麒麟堂主催者・池上麟斎と二人の門弟だった。鬼座と麒麟堂に踏み込んだがもぬけの殻だった。
瓦版で真吾を殺したのが夜叉萬と知った鬼瓶は出刃亀と赤城とで夜叉萬宅を襲う。頭・鬼瓶に文を人質にされるが、倫が顔に牙と爪を見舞った。文が鬼瓶の腕を解き、鬼瓶の顔に一升徳利を叩きつけ鬼瓶は昏倒し捕まった。
綾と一緒にいた音三郎も襲われた。三人を倒した。音三郎は藩に綾を妻にする許可を願い出た。しばらく待ようにということだったが、音三郎の気持ちは変わらない。
権三の隠した小葛籠が取り出され千両が戻った。権三は八丈島送りになるかもしれない。
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