2017年6月5日月曜日

雇われ師範・豊之助⑤

雇われ師範・豊之助⑤ 泣き虫大将 千野隆司
 来栖道場の師範代・永田豊之助の父親は北町奉行備前守正直。長男は三千石の永田家を継ぎ、次兄は千六百石の富本家に養子に入っている。富本家の縁者・普請奉行水沢京之輔の頼みで、北町の定廻り同心・北山参次郎と二人で二日続いた嵐の時に崩れた小日向水道町の白堀の石垣を調べる事になった。見回り時、崩れるようには見えなかった。
 長崎奉行候補一番の水沢京之輔を追い落とすために、候補二番の石川寿三郎と、石川が長崎奉行になると品物を回してもらえるという算段をしている肥前屋が口入れ屋・鮫崎屋
を使い石垣を崩したことが判った。殺されようとした職人を助け、指示した侍が落とした鉄扇を持っていた事で判明した。口封じに走った石川家の者を捕まえた。水澤は長崎奉行に決まった。
 来栖道場の三人の門弟が十二才以下の試合に出る事になった。優勝は一人一俵の米だった。梅太は入ったばかりで、泣き虫だが、休まず練習に来る。準優勝になる。
 水澤家の二人の家来が門弟になった。

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