思い出のとき修理します 谷瑞恵
仁科明里28才は、 津雲神通り商店街の貸家になっている「ヘアーサロン吉井」の老夫婦の孫と言う触れ込みで借りた。小学校二年の夏休みを過ごした家だった。後で分かったことだが、母親の結婚前に付き合っていた彼の実家だった。チェーン店化している美容室を辞め彼と別れて、母にも内緒で引っ越ししていた。
前の時計屋さんに、「思い出の時 修理します」のプレートがあがっている。店主は飯田秀司28才。太一 津雲神神社でアルバイトしている大学生
黒い猫のパパ 昔、パパという猫を飼っていた少女が商店街のパン屋さんと結婚する。彼女は顔も知らない父親を黒猫にダブらせる。父親はカメラマン名乗る事をせず、彼女を見守る。そこに黒猫が存在した。彼女の写真を入れたオルゴールを落とした事で明里が知る事になった。彼女の結婚写真をオルゴールに入れ、父親の手元に返す。
茜色のワンピース 洋装店のハルエさんの頼みで秀司と明里は縁日のデートをする。ハルエの苦い思い出デートを塗り替える。姪の世話になることになったとハルエさんは商店街を出る。
季節はずれの日傘 桃色の子ぶたのぬいぐるみを探す、十五年前に娘を亡くした母親と、桃色の子ぶたのぬいぐるみを探す小さい時に自分のために母を亡くした娘。母親は少女が桃色の子ぶたのぬいぐるみを抱いている姿を見、娘がぬいぐるみを見付けたからもう私は入らないと去って行く。ぬいぐるみを探す娘のために探していたのだった。
光をなくした時計師 秀司の元かの・真由子が訪ねてくる。秀司がスイスでの修業中に兄と婚約する。兄がスイスに訪ねてきて二人は交通事故に遭う。兄は死亡、秀司は目を傷つけるが兄の角膜で手術し、見えるようになっている。その後会わなくなっていた真由子が来たのだ。兄の願い事を書いた絵馬を見た。弟が独立時計師になれますように。明里は秀司の髪を切りながら、新しい時計を作って欲しいと頼む。秀司は昔ヘアーサロンに来ていたはじめて時計の修理をした女の子に会いたかった。明里は自分では無いと思っていた。秀司を騙しているように思っている。
虹色の忘れ物 明里はここの孫ではないことを秀司に話す。吉井のお婆さんがくる。お婆さんとの話で夏休みに一度だけ来たと思っていた明里だが、春休みにも来ていた事が分かった。母に、叱られ、お婆さんにももう来てはいけないといわれた事で封印してしまっていたことがわかった。おばあさんが預かっていた秀司が修理した時計も出てきた。お婆さんの息子・母の元彼が迎えにきた。二人の新しい時が始まる。
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