九頭竜覚山 浮世綴〈二〉 蓬莱橋雨景 荒崎一海
三月末、覚山は松江城主・松平出羽守治郷47才に呼ばれた。山形屋の事件に付いて話す。羽州屋儀兵衛と長谷堂元右衛門は死罪、家財は闕所、山形屋の地所、店はそのまま、百五十坪は殺された五郎兵衛の姉に、冬木町の二百坪は残された羽州屋と長谷堂の者に渡された。
四月、治郷は国許に帰るが覚山は江戸にとどまる許可を貰う。
祝言を控えた両替屋達磨屋の娘・ふじが蓬莱橋から身投げした。同じ日に、ひでという女が妾宅で殺された。同じ日、質屋が襲われ奉公人含めて七人が皆殺しにされた。
覚山はふじの身投げの理由にこだわり同心・柴田喜平次に頼みご用聞き・弥助と手先の三吉に調べてもらう。船頭の松吉が二日前に寺の賽銭泥棒の汚名を着せられ切腹した浪人親子の話を持ってくる。切腹の理由を作った金次を調べてる。金次が殺された。金次はひでのところに行っていたことが分かった。覚山はひで殺しを調べられないために惨い質屋の殺戮があったと考えた。
達磨屋が盗賊に襲われ逃げるために付け火した。裏長屋んも共に燃え、長屋の住人と店の者五十三名が亡くなった。盗賊は達磨屋の法被を着て大八車に金を積んで逃げた。船頭を探し盗賊の隠れ家を見付けて捕まえた。熊三郎は畿内と東海道、中山道を荒らし回った盗賊だった。妾のひでと間男・金次を殺し、質屋に押し入り、両替商に押し入った。
覚山が拘ったふじの身投げの原因は、人目ぼれした片思いの浪人の息子の切腹だった。覚山の拘りから盗賊の捕獲に繋がった。
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