2018年9月19日水曜日

京都寺町三条のホームズ・9

京都寺町三条のホームズ・9 望月麻衣
  〜恋と花と想いの裏側〜
 一月 円生が「蔵」に骨董市で買った茶碗を持って現れる。清貴はいないので葵が鑑定する。葵は藤原雄の備前焼と言いきる。円生は葵をするめみたいやと言って帰る。
 花と酒と恋の鞘当て 清貴は伏見の酒蔵「幸谷酒造」へ勤めている。「こんた」というBARも経営している。父親・高雄と三十才の康太と二十五才の瑞希親子でやっている。
 清水焼の八十万ほどする徳利がある。高雄は先代から譲りうけたものだから私も瑞希の婿に譲ろうと思っていると言う。徳利が無くなった。相談された清貴は返ってくると思うから待ってよと言う。
 京都府立大学の大学院の秋人の弟・梶原春彦が、香織のサークルの先輩・目黒さんと付き合っている。目黒先輩は、中学からの仲良し大久保先輩との仲がおかしくなって心配していた。春彦が大久保と友達関係だった。目黒は大久保に許可を貰って春彦と付き合い始めた形なのだが、やっぱり好きだったのかと心配していた。
 所属するフラワーアレジメントの催しで「花と和歌と抹茶のお店」をした。夕方、店じまいの頃、清貴は休憩時間を利用してバイクで駆けつけた。葵の作品・
 〜思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを〜
を見にきた。可愛すぎと喜ぶ。大久保先輩の作品を見て、清貴と葵は大久保が好きなのは目黒先輩だと分かった。言えない思いだった。
 高雄の手に徳利が返った。誰かが盗んだと思われていた従業員はうやむやにすることに反対した。清貴は瑞希が犯人だと明す。二人が血の繋がらない兄妹で愛し合う兄妹だと言う。瑞希は五年前に振られ、康太は言ってはいけない思いだと秘めていた。父親はいつ言い出すかと嗾けていた。二人の思いは通じた。
 答え合わせ 円生が酒蔵に来る。柳原の酒を買いに来たのだが、清貴には答え合わせだと言う。円生は清貴にあんたは手に入れたら途端に醒めるんや。それが怖いから彼女に手が出せないんや。清貴も目をそらしていることだった。
 金の器と想いの裏側 十三才の誕生日、清貴は百十万円をオーナーに預かり、上田さんに付き添ってもらい美術品を買ってくるように言われる。始めてパリに行った時にときめいた絵が百五十万円で売っていた。上田の友人・風見に清貴のダヴィンチに対する見解を披露し、百万円で買う。部屋に持って返った清貴は、ときめきが消えていた。自分の部屋に置かず、展示室に展示している。清貴は手に入れた途端その品物への情熱を失ってしまう。円生にはそれは物質に対してだけと言ったが、強い恋心を抱き一喜一憂するのは葵が始めてだ。自分は彼女を手に入れてしまうとどうなるのだろう。
 宮下香織の恋路 香織は清貴の同級生・現医学研究院生の小日向圭吾に付き合いを申し込まれるが、香織は清貴の父親・武史が気にかかる。自分としっかり向き合おうと思う。
 復讐のショータイム 二月十四日清貴の誕生日、葵は東京から駆けつけた清貴を自分の運転で迎えに行き、トロッコ電車と川下りのデートを企画した。予備校の講師をした清貴は生徒が信者のようになってしまうと言われた。
 清貴は枚方パークで開かれるレンジャー物のイベントの日の秋人の一日マネージャーを頼まれた。最近になって替わったプロデューサーに秋人は何か不穏のものを感じていた。
シナリオを変えられ、クイズを解くと、観客に清水プロデューサーの非人道的な行動を暴くようになっていた。清貴は観客に不快の思いをさせないためスタッフを使い、出来上がる文章を変える。葵と香織に観覧車に乗ってもらい協力してもらう。清貴は内々で清水プロデューサーの不正や悪事を表沙汰にする。復讐しようとした岡崎は後に告訴する。
 五人のレンジャーやマネージャー、葵、香織も一緒にコンタに行く。
 エピローグ 円生が蔵に来る。葵に柳原もあの茶碗を藤原雄だと言ったことを伝える。
葵は円生に好きなことを仕事にすればどうですかと言う。
今年の葵の誕生日に、清貴と旅行に行くことになった。

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