2018年9月12日水曜日

京都寺町三条のホームズ・7

京都寺町三条のホームズ・7 望月麻衣
   〜贋作師と声なき依頼〜
 プロローグ 葵の誕生日パーティの翌々日、清貴はオーナーとオーナーの恋人・滝山好江と三人で買い付けに海外へ行った。秋人が来て、葵に清貴と好江が意味深な会話をしていたことを告げる。
 五月半ばに三人は帰ってきた。清貴は葵にミュシャの「黄道十二宮」のリトグラフとエーデルワイスの絵柄のブレスレットウォッチをお土産に買ってきた。一緒に時を刻んで思いでをつくって行こうというメッセージだった。
 葵が蔵に行くと好江と清貴が二人でいた。好江は蔵の改装案の図面を清貴に渡し、清貴が婚姻届のおまけが付いた結婚情報誌を好江に渡す。真っ赤になった好江が店を出て行くところに遭遇する。秋人から聞いていたこともあり、葵は清貴に好江さんと結婚するのかと聞く。不倫でもないけれどそんな状態で私と付き合っていたり、不誠実だと言う。
 清貴は好江さんは僕にとって母親のような存在だと言う。好江さんは再婚を考えていなかったが再婚をしたくなったと言ったのだった。が、後にオーナーは結婚する気はないと好江に言った。
 その心は 好江さんの息子・利休の父親・左京が東京を引き払い京都の父親の屋敷の離れに住むようになった。左京が、右近のお茶会を開くので、清貴と葵に来てくれと言う伝言を持ってくる。本当のお茶会を開くのに、左京のお茶会と司のお茶会のどちらにするか決めて欲しいということだった。
 葵はお茶会に着物で行くことにした。着物に慣れるために家で着物を着ることにした。お祖母ちゃんは嬉しそうだ。茶会に必要な小物を揃える。雰囲気の変わった葵を清貴は秘密基地に連れ込み、ーおいで、葵。殺し文句を言う。
 茶会の日、司の茶室は利休の一輪の朝顔を模したものだった。左京の茶室は和泉式部の朝顔の歌を自筆で書き、青竹を自分で加工した花器に朝顔を生けていた。清貴は左京の茶室を選ぶ。利休の茶室は秀吉のために作られた物で、左京の茶室は訪れる人のために左京さんが作った物だから。
 後継者を口にする司に左京は自分には荷が重い、自分はここで父親の介護をする。稼げないデイトレーダーでも生活できる。お互い都合よく暮らせる。司の顔も優しくなる。茶会をする。左京は、三十年後、好江が一人になっていたらまた一緒に暮らせたらいいなーと言う。
 気は遣うものではなく、配るものや。
 砂上の楼閣 円生が白磁の香合を持ってくる。ホームズは本物だと断定する。
一ヶ月後、円生が学校の校門前にホームズの口調で葵の前に現れる。割れた白磁を出す。葵はこれは前の白磁と別物だと言う。円生がどんどん変わって行く。あの我が強い男が手を出さんとよっぽど大事にしてるんやね。そんなあんたを穢したらあの男はどないな顔をするんやろ。そんな所に清貴が来る。葵は円生の清貴に対する憎悪に近い嫉妬を感じた。
 何もなかったことを良かったと言いながら、清貴は葵に別れの言葉を告げる。寝てへんし傷物になる前で丁度良かったと言う清貴に、どうしても別れるなら傷物にして下さい。という葵に、僕はほんまに好きやったと抱き締める清貴。本気で別れようとしていることが伝わった。
 言霊という呪 二ヶ月、香織にも別れを告げられたことは言わず、受験前だからバイトは休んでいるとだけ言い普通に生活している。
 店長・武史の誘いで吉田神社に行く。清貴が兵庫に行ったことを教えられた。そして家頭家の呪について話す。あなたに逢えなくなってとても寂しいと言う。
 望月のころ 二月、清貴の円生と決着をつけるという言葉を店長が知らせてくれる。二月十五日、葵は蔵へ行く。円生も来た。円生の白磁の香合と対になった白磁香炉を見付けてきた。香炉の持ち主・ユキさんが元気なことを伝えた。香炉を持ってユキさんを訪ねて下さいと伝える。ほんまうっとうしいと泣く円生。白磁の香炉をもって帰った。
 葵は、清貴くんーおいで。両手を広げる。
 エピローグ 三月、葵は蔵に行っている。菅原真也・円生から絵が送られてきた。
円生は柳原先生の弟子になった。

0 件のコメント:

コメントを投稿