風烈廻り与力・青柳剣一郎㊷ 夢の浮橋 小杉健治
鋳掛け屋の初藏は掏摸が商人から財布を擦るのを見た。掏摸が捨てた財布の中の富くじを拾った。初藏が胸苦しく困っている時に背中を擦っていた野菜の棒手振り長吉は、鋳掛け屋が落とした富くじを拾った。
商人の財布を擦った掏摸が殺された。初藏は脅され抽選会場の前で棒手振り探しをやらされた。長吉に渡され当選番号を見に行った六郎が殺された。当たったのは掏摸に財布を擦られた商人だった。初藏は当たりくじ番号が決まっていたことを知った。友達を殺された長吉は初藏を探し出す。二人で関係者を探り出し当選金の半金を強請る。
青柳剣一郎は奉行から陰富を調べるように言われる。陰富は好きな番号札を買える。あたり番号を十枚分買った者が三人いた。三人は富くじで不正をしている者の関係者だった。剣一郎は陰富を調べる前に富くじの不正を知った。
剣一郎の娘・るりの嫁ぎ先の御徒目付・高岡弥之助はある旗本を調べるよう言われた。弥之助が調べると陰富と関係していた。弥之助は確かな証拠が見付からなかったことにした。旗本は体調不良で家督を18才の息子に譲り隠居した。16才の娘は嫁ぎ先が決まっており、潰すことは忍びなかった。
陰富をしていた修験者は真面目に修行に出発した。
富くじの不正を知られた仲間は脅した金を受け取りに来た初藏と長吉を殺そうとする。剣一郎が現れ、寺社奉行の物頭・檜山哲三郎に不正が露見していることを伝える。檜山は捕まり自分の独断で有力檀家と示し合わせたことを自白し、奉行を護った。
剣一郎は、初藏と長吉が調べていることは知っていたが、強請は知らなかったということにした。
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