2015年4月14日火曜日

摺師安次郎人情暦 いろあわせ

摺師安次郎人情暦 いろあわせ 梶よう子
 1842年
 安次郎33 摺師 八年前祝言を挙げ、四年前お初は子ども・信太を産んで亡くなる。信太はお初の実家にいる。安次郎は12才の時の火事で親兄弟は行方不明のまま、摺師の親方の世話になった。 
 かけあわせ 葉月 吉川林太郎という五十石の御家人の息子がいじめられていた旗本の息子を刺した。安次郎は心当たりの所を探す。父親との思い出の場所で見付け、一晩預かる。次の日、父親に諭され旗本の息子に謝罪に行く。旗本の息子も謝りたいという。
 ぼかしすり 「艶姿江都娘八剣士」という安次郎が刷った錦絵版画が売れる。桜庭義右衛門が像主を聞きに来る。物事がわからなくなりつつある妻が23才で亡くなった息子にそっくりで会いたいと言う。像主を見付け会わす、妻は「義右衛門に自分を責めないで」と伝言する。息子は義右衛門が小人目付けの仕事を全うすることで、恨みをかいなくなっていた。
 まききら 初冬 紙問屋小原屋の死んだことになっている惣領息子が妻と娘を連れて、十年振りに帰ってきた。父親は大喜び。店を譲られる事になっている次男は気が気でない。次男は兄の娘の勾引かしを計画する。安次郎には勾引かした者が解り、取り返す。勾引かした者は次男がくれない手切れ金を取ろうとした。長男は始めから上州へ帰るつもりだった。
 大橋甚助(新吾郎)が田辺安次郎を訪ねてくる。安次郎の父は火事の前年公金流用を犯した上役のとばっちりで疑いをかけられ役を解かれた。火事の後叔父・俊之助は田辺家の後を継ぎ、安次郎の引き取りを拒否した。二年後役も戻されていた。新吾郎は叔父に会えという。
 からずり 師走・睦月 お初の両親から再婚を薦められる。
 いつも行くめし屋の利久の情夫だった男・庄三郎が赦免船で帰ってくる。五年前島送りになっていた。庄三郎は岡っ引きに濡れ衣を着せられていたことを知り、岡っ引きを殺し、自分も死ぬ。利久も岡っ引きに騙されていたことを知る。安次郎も直介も後で岡っ引きが悪だったことを知る。直介は小間物問屋の女房の連れ子で摺師になりたくて押しかけてきた安次郎の弟弟子。親方の娘を好き。
 あてなぼかし 安次郎が世話になっている長屋のおたきが病気になる。たきの孫・太一を探す。
 大橋の妹・友恵が叔父に会うように言いに来る。友恵はたきを看病する。旗本に嫁いでいたが返され家を出ようと考えているところだった。
 太一は旗本に監禁されていた。大橋に頼み、助け出す。太一はたきを恨んでいた。安次郎は母親のいまわの際を知らせなかったのは、たきでは無い。仕事のことでやかましく言ったのも、太一の母親が言った通りにしただけだ、という。太一はまた逃げ出す。たきの家の前に福寿草の鉢植えがあった。太一だろう。母親の名前は福だ。
 田辺は安次郎を引き取らず、自分が家督を継いだことに苦しんでいた。田辺の苦しみを取り除けるのは安次郎しかいない、という。信太も入れてみんなで花見をしようという。
利久に花見のお弁当を頼みに来る。卵焼きの用意をすることになった。

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