2017年11月1日水曜日

着物始末暦(六) 錦の松

着物始末暦(六) 錦の松 中島要
 赤い闇 岡っ引き矢五郎は六助と余一を調べようとする。余一の出所と自分の昔のことを調べられたくない六助は、矢五郎の女房・奈美に矢五郎が岡っ引きをしているために生まれてくるはずだった麻吉が生まれず、霊になって憑いていると千吉が化けた庵主様に言わす。奈美は霊でいいから麻吉に会わせて欲しいと言われ、余一に相談する。
 余一は奈美が生まれなかった子どもの歳を数え縫ってきた着物を預かる。着物二枚で達平に着せた。余一はおかみさんが我が子の死を悲しむ限り、親分は己を責める。これからは着せる当てのない着物より、亭主の着物っを縫った方がいい。その方があの世の麻吉ちゃんも喜ぶだろうという。
 矢五郎が余一の長屋の話を全て聞いていたことを話、お前たちには近づかないと言う。
 泣かぬ蛍 大隅屋の園と珠はそれぞれの亭主に初めて浴衣を縫った。珠たちは糸は天乃屋の若旦那に嫁ぐと決めて話をする。みつは余一と所帯を持てばいいと。みつは余一の浴衣を縫うが渡せないで帰ってきた。珠は余一が断ったと思っている。
 錦の松 綾太郎は井筒屋・愁介から桐屋の先代は駆け落ち者で人別を偽っている。今のうちに玉を離縁しろと言われる。桐屋の光之助はその話が本当ならば離縁すると思うのなら今すぐ離縁して下さいと言われる。綾太郎は離婚しない苦しい時こそ助け合う精神を選んだ。
 淡路堂の三和の結納時の振り袖の図案を頼まれた。余一に相談し三和に松尽くしの振り袖を考えた。幸いが待つ、待つだけで幸せになれる。
 糸の先 糸はまだ振り袖を礼治郎に返していなかった。周囲は糸が玉の輿に乗るものと考えている。達平が糸を余一の所に連れて行く。余一は自分の父親は縁談を断わられた腹いせに母を手込めにし出来た子どもが自分だ。そして母親は亡くなったということを告白する。糸は礼治郎に断ることを決心する。余一も一緒に行く。余一は振り袖をきっちり始末していなかったことを謝る。礼治郎の母・節も話をし、縁談は無くなった。

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