2018年6月24日日曜日

善人長屋シリーズ 大川契り

善人長屋シリーズ 大川契り 西條奈加
質屋・千鳥屋の娘・縫18才。父・儀右衛門、母、俊。
千鳥屋は質屋の傍ら盗品を扱う故買屋もしている。
儀右衛門が差配している千七長屋は善人長屋と呼ばれるが、住んでいるのは髪結床も小間物売りも下駄売りも裏稼業を持っている。
 泥付き大根 縫の兄・倫之助23才が、養子先・茶問屋玉木屋の義母・杉59才が三十三才の無宿人・石藏と一緒になりたいと言うと相談に来た。長屋の衆が調べる。石藏は良い男だが十年前に出合った盗人が付いていた。玉木屋に盗みに入るという。自分が居ては杉に迷惑がかかると思い逃げようとした石藏から聞き出した。長屋の錠前職人に絡繰り錠に変えさせ、盗み先を変更させる。御上の手入れが入る金貸しが五百両盗まれ手入れを免れる。杉は産まれて一ヶ月で長男を亡くしていた。石藏を息子のように思っていた。石藏は杉から餞別を貰い上方に旅立った。
 弥生鳶 財布を盗み必要な物だけ取り出し鳶と桜を書いた紙を財布に入れ戻すという掏摸が何十年ぶりかで現れる。長屋の小間物売りの安太郎は掏摸で二代目弥生鳶は安太郎ではないかと噂された。今の弥生鳶は戻さない。盗んで書いた物を残すだけ。弥生鳶の娘・勝が自分の父親は安太郎ではないかと安太郎の気を引くためにやっていた。安太郎は勝に
父親は勝が産まれる前に亡くなった。掏摸ではなく真面目な人だったと話す。
 兎にも角にも 長屋の本当の善人・加助が怪我をした梅蔵を長屋で面倒を見ている。歩けるようになった時、佐野屋の隠居が、黒檀の足に象牙の柄、象牙は兎の頭、目には珊瑚礁、兎の耳が持手になっている杖を貸していた。梅蔵が千鳥屋から物を盗んで逃げた。人目に付きやすい杖の御陰で梅蔵が見付かり盗んだ物を足り返せた。
子供質 縫が子供を預けられた。付添の女中が家に帰ると殺されると言った。子供は危ないことばかりする。煮豆売りの夫婦・竹に子守を頼む。竹は何をしても痛くないという子供に悲しい寂しい辛いも痛いということだと言う。探し出した子供の家・布団問屋利根屋に乗り込む。利根屋の主が痛みの感じない子なのだと言った。己の痛みは分からなくても他人の痛みは知ることが出来る。とっかかりは掴んでますよ。
 雁金貸し 縫の姉・佳代の亭主・漆喰職人の次吉が屋根から落ち半年働けないでいた。佳代はお金を三両借りたが、五両だと言われ困っている。佳代は俊と蟠りがあり、千鳥屋の仕事も嫌い家に近付かない。縫は十年会っていない。次吉の知らせで知った縫は、代筆業の梶新九郎に調べて貰う。証文の二度漉きの紙と糊のからくりを暴いた。武家が妾に金貸しをやらせていた。妾は若い男に貢ぐために証文に細工した。自殺した女がいた。一切合切を書いて納戸組の旦那に送った。唐吉と文吉兄妹は幽霊になった。佳代は借金から解放された。佳代は私はふた親に似ていない。それが佳代の蟠りだった。
 侘梅 唐吉が姫様を火事場で助け見初められ、半分脅され会っている。姫様には幼馴染みの婿養子が決まっていた。小さい頃に悪さをされた想いでしかない相手で嫌っていた。唐吉は姫に贈る為に若様が探している豊後梅の鉢を探し出し若様に贈る。
 鴛鴦の櫛 加助が連れてきた怪我人が亡くなった。駒吉は辞世の句を残した。兄だと名乗る男が現れる、辞世の句を渡すが、彼等は二年前に盗んで隠した一千五百両の隠し場所を知りたかった。縫と俊が捕まり、儀右衛門に隠し場所を探してくるように言う。捕らえられた俊は縫に連中に無体を働かれても命を絶つなと言った。昔の自分の話をする。水茶屋で働く人気者だった。真面目な侍に母親の形見の櫛を貰ったが、侍を歯牙にもかけない扱いをしたことで侍の仲間が俊を襲い、玩ばれた所へ侍が現れ、自藩の上役の息子を斬った。事件は世間に知られ俊は非難の的になった。という話しをした。
 大川契り 嵐で大川が氾濫しそうな時、寺に避難しても入れてもらえ無かった。羽振りが良かったころ貰った物を持って行っていた質屋の倅・儀一に一緒になってくれと言われた。悪党になることを決めたが泥の中からでも真っ直ぐ、真っ白い花を咲かすあんたがおれには入り用だと言われた。二人は一緒になったが、二年後に産まれた佳代に口さがない噂を流す者がいた。佳代の蟠りになったという話しをする。縫は盗人たちに私が探すと言い、詳しい話しを聞く。二千両を盗み逃げる途中武士の一団に会った。二手に分かれ隠し場所の絵図面に残した。追求が厳しく路銀だけ持って二年後の今年、落合江戸に戻ったがお金は無くなっていた。辞世の句を見て縫は考えた。鉄砲水で流された地蔵堂の後地で地蔵像と九百三十両の入った袋が見付かり村人はそのお金で地蔵堂を建てていた。地蔵堂の前で儀右衛門と出会う。
 

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