わが家は祇園の拝み屋さん① 望月麻衣
櫻井小春は去年祖父が亡くなった父親の実家の京都へ来た。祖母・吉乃は祇園で和雑貨屋「さくら庵」を営んでいる。父の歳の離れた弟・宗次朗30才が店の中で和菓子屋を開いた。小春は中学三年の途中、目を合わすと心の声が聞こえるようになり学校に行けなくなり、両親とも話せなくなり閉じこもった。誰にも理由を言えないで、周りに知った人がいない京都に来た。下を向いて小さな声で話す。
さくら庵を手伝いながら、吉乃の実家が賀茂家で吉乃自身が拝み屋さんだと知る。
吉乃の弟の孫・賀茂澪人19才のモデルをしている姉・杏奈が京都に来る。手拭いの月の中の兎が消えた理由を知りたいという。四人には生兎が見え、小春の手の中に収まる。宗次朗は自己犠牲に疲れたのではないかと問う。杏奈が自分を偽らず自分を大切に自己主張して仕事をする決意をすると兎が手拭いに帰ってきた。
妻を亡くした夫のために、夫が見ている妻の幽霊の除霊を頼まれる。頼んで来たのは妻の幽霊だった。吉乃は妻の言葉として自分の分まで今後の生活を楽しみ、二人で行くはずだった所へ行き、孫の成長を見、今度出会った時に話して欲しいと言っていたと話す。夫は前向きに生活するだろう。妻の幽霊は消えた。
澪人が変な雨と言う中、小春は辰巳大明神で迷子になっている蛇に出会う。夢にまで見たために相談する。辰巳大明神で子猫に変態した蛇をたぶん住み家だと思う神泉苑に運ぶ。蛇は龍神・若宮だった。なんでも助けると言ってくれた若宮に、心の声を聞こえないようにしてと頼むが、それは本当に小春が願っていることかという質問に、この力の御陰で人を助けられたことを考え、頼みを止めた。
みんなに人の心の声が聞こえることを言う決心をする。
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