沼里藩留守居役忠勤控③ 流転の虹 鈴木英治
深貝文太郎は三千五百石の旗本・内藤甲斐守昌照の奥方から猫探しを頼まれ、直ぐに見付けた。奥方は文太郎の妻だった志津と懇意だった。大名小路で駕籠に乗った志津を見たと言う。そのことを文太郎に伝えたかったのだった。甲斐守から、文太郎の仕える水野家にお手伝い普請が命じられそうだという話しを聞く。
水野家は千両用意し、老中・阿部大和守の所に持って行くが、お手伝い普請を命じられた。阿部大和守は水野家所有の仁王斬り則兼が欲しかったのだ。
志津の幼馴染み・井村長輔が匿って欲しいと訪ねてくる。井村は阿部家の勝手掛だった。阿部家の金をちょろまかし裏帳簿を持って逃げ出していた。また阿部の側室に志津とそっくりな人がいることを教えてくれた。阿部の手の者が志津をさらおうとして失敗して志津が死ぬことになったのだと言う。
文太郎の家の奉公人・玉枝が勾引かされた。文太郎は阿部家に忍び込み玉枝を探し出す。阿部大和守に、裏帳簿を久世越前守に届けられたくなければ水野家のお手伝い普請を引っ込めろと脅迫する。阿部が取り消してくれる。
黒頭巾の者が現れる。阿部の手の者ではないという、志津そ殺した男だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿