2017年5月31日水曜日

表御番医師診療禄〈9〉

表御番医師診療禄〈9〉 秘薬 上田秀人
 矢切良衛が江戸に帰った。寄合医師になって長崎に行くが御広敷番医師に戻る。子供が出来る秘薬など無いが無いとは言えないなか、奥医師・田上清往や典薬頭・半井出雲守が秘薬、秘術を聞きに来る。
 良衛は身体を暖める漢方に砂糖を足して伝の方に渡す。伝の方は子供が出来ないようにする薬を知らない間に飲まされているのではないかと思っている。良衛はそんな薬があるのかと中条壱岐に尋ねる。伊賀者に伝の方の天井の調べを願う。薬を盛られた穴は無かった。
 露の方の父親・房総屋市右衛門は秘薬の作り方を知るために良衛を捕らえようとするが、阻止され身辺を探り、良衛が気にかけている長屋住まいの美絵を妾と思い、美絵を人質にしようとする。

2017年5月30日火曜日

新・酔いどれ小藤次〈七〉

新・酔いどれ小藤次〈七〉 大晦り 佐伯泰英
 小藤次は、勾引かされた娘を助けるために、御庭番と御庭番を辞めさせられた者との闘争に巻き込まれる。老中青山忠裕に関係するよう引き込まれた。望外川荘で御庭番の闘争が終わった。
 青山忠裕の用人は、森藩江戸家老に「赤目小藤次を使い立てして御当家に迷惑をかけたな」と言葉掛けをした。剣術指南役・小藤次に対する態度が変わった。元剣術指南役・溝口修と二人ですることになった。
 女ツボ振師・くめが商家と旗本の賭に巻き込まれる。板倉が札差からの五百両の借金を帳消しにするため、猫めし茶碗を出し賭をすることになった。小藤次は板倉の茶碗について妻・りょうの父親・幕府歌学方御歌学者・北村舜監に相談する。舜監はくめに負け、五百両の借財と百両の上乗せ分を猫めし茶碗にて受け取ったという証文を取るようアドバイスをする。くめと札差は小藤次から聞いた通りにする。茶碗をみた舜監は三つ揃って三千両の値を付けた。
 小藤次とりょうと俊太郎は行き来のなかった北村家に新年の挨拶に行く事になった。

2017年5月29日月曜日

町奉行内与力奮闘記〈四)

町奉行内与力奮闘記〈四) 連環の罠 上田秀人
 北町奉行所内与力・城見亨が命を狙われ捕まえた浪人と言い張っている伊藤卓也を年番方与力・左中居作吾が寺社奉行・松平伊賀守に恩を売るため、城見と知り合いだと言う供述を取りとり解き放たれる。伊藤は仲間に殺される。
 曲淵甲斐守は亨に中途半端な捕らえ方をせず、殺してしまうか、自分で曲淵のところに連れてくるべきだったと諭す。
 とばっちりが同心板谷と自分に来ると考えた岡っ引き・神田の次郎は殺し屋・陰蔵に城見の殺しを頼む。城見は狙われた殺し屋の一人を殺す。神田の次郎を捕まえるが、次郎は殺し屋に殺される。殺し屋は、亨の廻りをうろつく亨に思いを寄せる西咲江に目を付ける。

2017年5月28日日曜日

鬼役〈二十一〉

鬼役〈二十一〉 不忠 坂岡真
 相番の娘 矢背蔵人介の相番桜木兵庫の娘・寿美乃17に縁談が持ち込まれた。御小納戸頭取・美濃部播磨守の口利きで相手は御納戸頭・乙山弥左衛門の息子・弥一郎だった。寿美乃は蔵人介の母・志乃の茶の弟子だった。弥一郎の性悪さを知っているので乗り気でない。
美濃部と乙山は公金にも手を付け、義弟に公金を着服させ支配勘定の志村に罪をなすりつけ切腹に見せかけ殺した。矢背家で娘の言葉を陰で聞き、桜木は縁談を断る。
乙山の悪事は露見し、斬首になった。桜木親子を襲った弥一郎を蔵人介が斬った。桜木は大坂定番の御鉄砲奉行になった。大坂に鐵太郎がいることを話す。寿美乃なら嫁に迎えてもいいと思った。
 大御所死す 家斉は物狂いの様子を見せていた。家斉を護った小姓・狭間文吾を後ろから突き殺した。家斉を文吾の父・狭間三郎兵衛が襲う。蔵人介が狭間を倒すが、狭間の無念を晴らしに蔵人介が家斉を狙いにいくが家斉は亡くなっていた。
 家斉の墓を感応寺にという偽造の遺言書を持つ、讃岐守と豊橋を撃った。
 刀下の鬼 湯方御家人・山田周平 宗像利左衛門幸恵の叔父 水野越前守
水野越前守の命を狙う者が現れ、蔵人介は護衛を頼まれる。湯方御家人・山田周平は倒される。蔵人介の妻・幸恵の叔父・宗像利左衛門も水野越前守の独断で人事が行われることを良しとせず、越前の命を狙い、蔵人介と戦い倒れる。

2017年5月27日土曜日

江戸城お掃除之者

江戸城お掃除之者 平谷美樹
 山野小左衛門35才 掃除之者組頭三十俵四人扶持 妻・久代 長男・佐馬之祐 次男・吉之助
 木嶋膳兵衛50才と尾野庄輔 煤払い師匠と若手、
 前田浩三朗と森新之介 箒がけ担当・指導 箒草から自分で作る。
 猪野沢金吾と内藤謙助 雑巾掛け担当・指導 汚れの種類で雑巾の素材を替える。
 音羽殿の局掃除の事 精鋭七人の内密の掃除を頼まれる。音羽の長局が芥屋敷になっていた。新しく入った澪が見ていられず頼んだ。一日目に知った抜け穴を採薬史・米蔵に教え音羽の事を探って貰う。干し蚯蚓で音羽の狆をおびき寄せ狆を人質に音羽と話す。音羽の持っている犬の張り子から音羽の秘密を探り出し、これからは芥を集めるのではなく、犬の張り子を集めることを提案し、掃除の許可を貰う。
 象道中御掃除の事 掃除の者品川から象の通った後の掃除を命令される。人数が多いことから山野組二十人は今までの象の糞を駒場薬園まで運ぶ仕事を言いつけられる。象の糞は狙われていた。薬種問屋千石屋が浪人を雇っていた。小左衛門は糞を護り、浪人から逃れていたが、糞は最終的には川へ投げ捨てた。浪人は捕まり千石屋は財産没収遠島になった。
 御殿向 開かずの間御掃除の事 山野組七人は大奥開かずの間の掃除を命じられた。綱吉の亡霊が出ると言うことで今まで目隠しし、まともに掃除をしていなかった。山野組はそんな掃除はしない。亡霊が亡霊でないことをつき止め、隠し通路があることを見付ける。大奥の者が会えない者と会うための隠し部屋だった。血を付けた襖は張り替え埃を払い、密会場所はきれいな所がいいでしょう。ときれいに掃除を終え、いつもと同じように「亡霊あり」と日誌に付けた。この部屋は掃除之者頭が新しくなると最初に命じられる掃除だった。大奥宇治の間。

2017年5月26日金曜日

中條流不動剣〈五〉 

中條流不動剣〈五〉 御前試合、暗転 牧秀彦
 家斉の声掛りで御前試合が行なわれることになった。塩谷隼人が名指しで出場し、村垣範行と決勝を争った。村垣と隼人は旗本のならず者を懲らしめるために選ばれた。柳生家と家斉の考えで、旗本のならず者を御前試合に出し、負けた遺恨を晴らそうと暴挙に及んだ現場を柳生父子に拘束され御目付けに引き渡す。親元に帰し、内々に厳しく罰するという予定だった。予定通り、事は進んだ。
 塩谷隼人は尼崎藩の家老に帰り、桜井松平家は関東異国警固番役に付くようにと命じられた。桜井松平家は大目付衆から疎んじられていた。家斉は塩谷がいれば大丈夫と言う。
 断るために老中に賄賂を贈ろうとお金を集つめる。米相場・・を考えた時、勘定方が換金した金を持ち逃げした。
 塩谷隼人は一人、柳生家に殴り込む。最後に他流試合をしない柳生新陰流と立ち合いたい。と言う思いと、殴り込み倒されれば塩谷のいない尼崎藩に関東異国警固の役は廻らないと言う考えだった。日比野左内と茜も柳生家に走る。隼人は柳生俊則と立ち合う。俊則は家斉に会い、塩谷や松平遠江守もまだまだひよっこ、大任を全うし得る力がつくまで猶予を与えてはいかが。と進言する。その日の午後関東異国警固番役は白紙になった。
 「海ねこ」にいる琴の元亭主・相模屋徳三が塩谷の長屋を千両で買い取った。隼人は江戸家老に付いた。狩野武兵衛は持ち逃げした勘定方を捕らえるために旅立った。柴崎条太郎を用人に推挙した。左内も手伝うようだ。

2017年5月25日木曜日

禁裏付雅帳〈四〉

禁裏付雅帳〈四〉 策謀 上田秀人
 東城鷹矢は物価調査のために錦市場に行く。錦市場の者に襲われる、錦市場の世話役の中にも裏切り者がいた。調査をしても何もするなと言う棚屋を追い返す。枡屋茂右衛門(若冲)が取り成しをする。鷹矢が襲われたことを町奉行所んい届けないために錦市場を閉鎖する理由が無くなった。閉鎖して半年ほどで、再開を願い、冥加金が奉行所に入り、市場を復活させた功績で店主らを支配するという計画を建てた者がいた。自分たちの身代わりを作る間、枡やを押さえておいて欲しいと東町の遠田に頼む。手鎖にされた枡屋を出すために鷹矢は池田奉行を頼む。
 禁裏の帳面を見た。三倍から五倍になっていたが、市場よりは高いが随分と安くなった。どこまで金が廻っていたのか、調べれば弱みを探れるのではないかと思う。

2017年5月24日水曜日

ゆめ姫事件帖⑤

ゆめ姫事件帖⑤ 鬼がくる 和田はつ子
 ゆめ姫が悪霊との闘いを宣言する 信二郎は眠ったまま。庄内屋の息子・太郎を探すが殺されていた。亡くなっている妹・てるの力を借りて明如が太郎を殺した事を自白させる。明如は服毒自殺をした。
 ゆめ姫が読み解く霊の気持ち 医者・中本尚庵の実父を探す。実父与兵衛は妻・品を殺したことになっていた。品は妾・縫に子供が出来、自分が病気のため縫が犯人と思われるように自死していた。与兵衛は縫を庇い、自分が犯人と思われるようにして逃げていた。縫は尼になり二十日ほど前に自分が犯人だと書き置きし亡くなっていた。与兵衛と尚庵は会った。
蜂に刺され亡くなった男の子・真吉も実母の事、心残りだった若菜ちゃんのことが判り心置きなく光になった。
 ゆめ姫、悪霊を追い続ける 干瓢で首を絞められ殺される事件が続く。旗本が天狗の面を付けた強姦魔だった。娘は父親の残した日記から相手を調べ父親の血を絶やして行ったのだった。自死した。
信二郎とゆめ姫の許嫁・慶斉が悪霊・隆仙にとりつかれ油壷を持って彷徨う。明如やてるの力を借り”心は身体 身体も心。心は幻、身体も幻、これ最強の奥義なり”を唱え隆仙は崩れた。信二郎は目を覚ました。
 ゆめ姫が大奥で生き女雛を選ぶ? 大奥で雛人形を選ぶ。ゆめ姫の父・家斉の側室・お雪の方が亡くなった。化粧品・白粉を服用していたためだった。想像妊娠だったお美央の方は病気療養の名目で尼寺の離れで暮らすことになった。お梅の方が付き添うことを志願した。

2017年5月23日火曜日

のうらく侍シリーズ① ③ ④

のうらく侍 坂岡真
葛籠桃之進33才 常磐橋御門内勘定方家禄三百石の旗本。北町奉行所二百石金公事方与力を拝命。父・松之進は十八年前に他界、兄・杉之進は十年前に他界。兄の妻・絹を妻にし兄の子・梅之進15才を養子にした。娘・香苗がいる。部屋住みの弟・竹之進28才がいる。
 安島左内 馬淵斧次郎 金貸しを殺した。
 年番方筆頭与力・小此木監物 札差、諸式掛同心、勘定吟味役、自分の横領を下役にしたこととして切腹させた。

のうらく侍御用箱③ 恨み骨髄 坂岡真
 出水のための普請の公金を懐中に入れた。一万両の工事のため両国橋を爆破させようとした。吟味方与力・荒尾中馬、普請奉行を欄干から吊るす。仲間に引きずり込まれた橋廻り同心は自裁した。

のうらく侍御用箱④ 火中の栗 坂岡真
 海賊に船を襲わせ、物品そ奪い海難事故として処理をする。奪った商品を売る。酒問屋、通行手形を出す・船手役人・筆頭与力・横井監物 幕府お納戸役 一橋家の茶頭
奪った物品の中に彦根藩の種牛二頭がいた。移動時に逃げた暴れる牛を殺す父・桃之進を見た梅之進は父を見直す。梅之進が彦根藩の牛係・日野庄左衛門の娘を好きになる。庄左衛門は残った種牛・太郎丸を連れて近江に帰る。娘の一緒に。

2017年5月17日水曜日

猫背の虎 動乱始末

猫背の虎 動乱始末 真保裕一
 大田虎之助 16才で南町見習い同心、猫背の虎と言われる。20才当番方同心になる。24才地震のため本所深川臨時の臨時見廻り役になる。松五郎が岡っ引きに戻る。小者新八21才
 父・太田龍之助 三年前に他界 仏の大龍と呼ばれる。町会所掛り。
 母・真木  姉・初音 離婚し実家に戻っている。
 佳代 山吹屋長女 父が虎之助の嫁にしようとしていたが、龍之介が亡くなり話が無くなった。大田家の者は知らない。妹と虎之助との縁談が壊れた後、虎之助と関係を持つが、別居していた夫の元へ帰る。
 美代 山吹家の次女 虎之助との縁談話があったが姉たちが断られるように仕向けた。
 佐吉 五年前、店と妻と子どもを火事で失った。やっとどうにか立ち上げた店が地震でなくした。生きる気力が無い。五年前の火事の原因を作った弟と間違い、男を刺した。怪我が浅かったため御救小屋での働きを命じられる。
 虎之助は商家への打ち壊しを、大名を利用しくいとめる。
 籠に入った益蔵の遺体を見付ける。女房が遺体を取りに来る。次の日、本当の女房が来る。焼かれて骨になった遺体が見付かり、虎之助は益蔵の遺体が焼かれたのだと考え、結城屋の者を呼び出し泊める。結城屋に盗人が来るのを待つ。少し前に結城屋の近所で起こった押し込みのと関係があるとみた。盗んだ金を益蔵が結城屋に隠し鍵を身体の中に隠していたのだった。遺体を焼き鍵を取り出し結城屋に来ると待っていた。捕まった。
 お救い小屋のために米蔵の米が出され帳面の数より多いことが発覚した。虎之助は町会所掛りをしていた父親に疑惑の目を向ける。真木の父親の所に聞きに行く。虎之助は結城屋の捕物で命を狙われた。龍之助は町会所の米を転売していた義父のことを知り、穴埋めに取り掛かっていた。途中で亡くなってしまった。転売に関係していた同心もあぶり出された。

 
 

2017年5月16日火曜日

情けがからむ朱房の十手 

情けがからむ朱房の十手 
 江戸怪盗記  池波正太郎 
  にっぽん怪盗伝 葵小僧
 鰹千両    宮部みゆき 
  初ものがたり 双子の子供
 夜鷹三昧線  村上元三  
  加田三七捕物そば屋 夜鷹廃業
 夜の橋    澤田ふじ子 
  公事宿事件書留帳 闇の掟 島帰りの土左衛門
 めんくらい凧 都筑道夫 
  いなずま砂絵 殺したくなく殺される
 三本指の男  久世光彦
  逃げ水半次無頼帖 棺桶から出てくる老婆
 三ツ橋渡った 平岩弓枝
  御宿かわせみ 幽霊流し 盗賊にさらわれた少女

2017年5月15日月曜日

遠州浜松殺人奏曲

遠州浜松殺人奏曲 梓林太郎 
 浜松市の龍潭寺から怪我をした男性が救急車で運ばれた。病院で亡くなる。小仏太郎と名乗った。小仏太郎は調べ始めた。近くで一人の遺体が見付かった。名前は分からない。小仏太郎と名乗ったのは元刑事・中ノ島豪だった。小仏は中ノ島と出会った場所を思い出した。十五年前の歌舞伎町ビル火災現場だった。中ノ島豪は五年前、十五年前の火災の放火犯でしょうと製薬会社の専務・雨宮を強請っていた。雨宮は違うと言うが、証拠が有ると言われ、間違いでも公にされると困るので、五千万円を払った。また、強請ってきたのでお金を渡す振りして人数を雇い、殴り殺した。小仏が強請だと思った中ノ島は自分で指定場所を決め、やってきた小仏を、殴り殺そうとした所を捕まえられた。
 中ノ島豪の父親は行方不明だった。父親の借金を返すために豪は警察を辞めていた。父親は歌手をしている女と一緒にいた。北海道で見付ける。父親は家に連絡を入れる。女も連絡をする。もう一人の殺された男の身元が分かる。男の母親は話を聞いた歌手の女を見に行き売り出せるように手配する。
 小仏の探偵事務所の客の社長の愛人が誘拐された。小仏は相談されたが警察に届ける。捕まえた男は中ノ島の仲間だった。愛人が閉じこめられたのは小仏と名乗った男の部屋だった。

2017年5月14日日曜日

悲嘆の門 上下

悲嘆の門 上下 宮部みゆき
 三島孝太郎19才大学の教育学部一年生、高校のフットサル部の先輩・真岐誠吾の紹介で誠吾が執行役員の株式会社クマーでアルバイトをしている。ネットの警備会社だった。
 何人ものホームレスがいなくなっていた。孝太郎のアルバイト仲間・森永はアパートに住んでいた猪野さんを探していて、森永も行方不明になった。孝太郎は森永を探していて、お茶筒ビルの屋上のガーゴイルに行き当たる。飛んでいるガーゴイルを描いた母親を亡くし、しゃべらなくなった少女・真奈ちゃんに出会う。真奈ちゃんは孝太郎をお兄ちゃんと呼び、お母さんはどこへ行ったと尋ねる。夜、お茶筒ビルに忍び込む。同じ日、元刑事・都築茂典も不審に思ったため合い鍵を作り忍びこんだ。二人は屋上で合い、しゃべるガーゴイルに会う。ガーゴイルが持つ鎌の中に森永がいた。彼女は大鎌の力を強くするために人の願望を集めていた。
 殺してから身体の一部を切り取る連続殺人事件と思われる事件が起きていた。苫小牧、秋田、三島、戸塚と起こっていた。五番目に殺されたのはクマーの社長・真岐の婚約者・山科鮎子・孝太郎のあこがれの人だった。孝太郎は連続殺人の犯人を渡すから犯人を見付ける手助けをしてくれるように契約する。左目が見えなくなりガラと通じている。
 孝太郎の妹・一美と姉妹のような一つ下の隣の園井美香中学二年はネット上でいじめを受けていた。テニス部の先輩・下川岳が美香に告白したため、岳に気がある〈きらきらキティ〉にいじめられていた。
 孝太郎は山科鮎子を殺した犯人をつき止めた。大学時代の友人だった。誠吾は自分を好きなのに鮎子が離さない、誠吾のために殺したと言い張る。誠吾は自分のために鮎子が殺されたと悩むだろうと言われ、ガラに狩って貰う。都築は苫小牧の犯人を見付ける。孝太郎は戸塚の犯人を見付ける。ガラに狩って貰う。秋田の犯人は自首してきた。連続殺人のではなく単独犯だった。ガラが殺した二人は行方不明でいつまで経っても捕まることはない。
 美香が連れ去られた。見付けた時、美香は殺されていた。キティが雇った夫婦に殺されているのを見た時、孝太郎は自制が効かなく、夫婦とキティを殺してしまった。力強くなった大鎌を持ってガラの領域に行く。悲嘆の門でガラは自分の息子を助けるために孝太郎と交換しようとする。息子は断った。孝太郎は放り出され真奈ちゃんに導かれ、元の世界に戻ってきた。
 孝太郎は救急車で運ばれ、美香とガク先輩は助けられ、犯人は捕まった。

2017年5月13日土曜日

QED ⑭ 九段坂の春

QED ⑭ 九段坂の春 高田崇史
 九段坂の春 桑原崇・九段坂中学二年 の同級生・鴨志田翔一は桑原崇と別れた後、木にもたれ翔一に桜の花びらを持った手を差し出しながら死んで行く男・落合光弘と遭遇する。
落合光弘は一年前、妻を亡くしていた。妻・康美は金沢の小児科の学会に出席し、帰った日に家の中を荒らされ頭を強打して亡くなっていた。光弘が疑われたが、神戸に出帳していた。康美は飛行機を使わず、片道七時間以上かけて往復し、高崎で医療記念館に立ち寄っていた。刑事・岩築竹松31は、康美の替玉、光弘の無理やり出張、光弘の弟・五十嵐哲也の関与を疑うが決め手は無かった。行きずりの強盗殺人と思われている。今回の光弘の死は、酔っぱらって桜の木にもたれ掛かり、枝が首に刺さってしまった事故と思われた。
 崇は翔一は自分と間違われていたと思う。光弘は桜の花びらを崇に見せたのだと思う。崇に五十嵐弥生・桜月弥生を示したと思う。五十嵐弥生は中学校の理科の先生だ。和歌集などの行間からいろいろ考えることを教えてくれた人だった。この春、夫と子供と供に和歌山に帰った。初恋終わり
 北鎌倉の夏 棚橋奈々 雪の下女学院高等部一年、BF・鎌倉湘南大学付属高校二年・空手部・須藤真司は同級生・上田壮が鎌倉宮の宝物殿の資料を見たいために忍び込もうとしているのをこっそり付いてゆき、管理人・五十嵐勝と遭遇し、空手の寸止めをしたために五十嵐勝が心臓発作を起こして亡くなったようだ。須藤は奈々にキスをし、事件の原因を作ったとして警察に名乗り出るだろうといい残す。
 浅草寺の秋 浅草寺の裏の公園で抱き合ったまま死んでいる男女の遺体が見付かった。警部補になったばかりの岩築竹松35に服毒心中の連絡が入った。
盟邦大学文学部社会学科一年・空手部一年生・小松崎良平が高三の試合前に怪我をした時に、試合に出るよう励ましてくれた一年下の江川優里が、姉・奈緒美が心中したと言ってきた。姉は違う人と付き合っていたという。
鴨志田翔一・真土山高校三年は心中事件があった公園で出雲谷(遠野で骨董店「海妖房」をしている)と出合い、待乳山聖天、庚申塚等の話を聞く。出雲谷は小松崎の先輩・八谷達也を見て、昨夜、心中事件の公園にいた男だと言う。認めない八谷だったがバックルに出雲谷の指紋が付いているという指摘される。逃げる八谷を小松崎の右中段突きが八谷の鳩尾に決まり止める。
 優里が紹介した八谷が、奈緒美と付き合い始めた。奈緒美は佐藤と付き合っていた。佐藤は毒を飲み、奈緒美に抱きつき口付けをした。その場から八谷は逃げた。優里は八谷からすべて聞いていた。優里は八谷が好きだった。小松崎は優里とさよならした。
 那智滝の冬 福森麗奈は海岸で船の中で亡手も足も真っ赤に腫らした遺体を発見する。深影佳勝だった。麗奈親子と麗奈の従兄・御名形史紋は麗奈親子の友達・五十嵐家にお邪魔する。五十嵐弥生と娘・彩子が東京から帰ってきて十年になる。父親は二年前、自動車事故で亡くなった。話は、深影佳勝、橋立(神山)禮子の話が出る。
史紋は一人で五十嵐家を訪れ、佳勝を殺したことを暴く。毒は服毒してから三、四日してから効く毒を使用していること。弥生は鎌倉の五十嵐勝の法事に行ってアリバイを作ったこと。用心していたが、史紋は毒を盛られ眠ってしまう。史紋があらわれることを判っていた弥生はすべてを彩子に話し、彩子と共に奈良の月修寺に行くという。佳勝は弥生と彩子を愛人にするために、弥生の夫を殺していた。
 警視庁捜査一課警部・岩築竹松のところに、十年前桜の枝に刺さって亡くなった男を突き飛ばした女性を見たという目撃者が現れた。鎌倉でその女性を見た。名前は五十嵐だったという情報だった。彩子は光弘の子供だった。弥生に子供が出来たことを知ると、光弘は逃げた。弟・徹也と結婚した。東京で再開した光弘は子供に合わせろと言う。それを知った光弘の妻・康美と揉め、振り払った時に康美は頭をぶつけ亡くなった。弥生が康美に成り代わり学会にでたのだった。岩築は和歌山にいくつもりだ。
 御名形史紋・紀伊和歌山大学大学院生の母親は御名形クリス(イギリス人)という毒草の専門家
 
 

QED ⑬ 河童伝説 

QED⑬ 河童伝説 高田崇史
 桑原崇は電車に乗り遅れ、棚旗姉妹と小松原に合流出来ず、新幹線に乗れば寝過ぎで新花巻まで行ってしまい、遠野の海妖房に行くことにした。海妖坊と呼ばれている八十才くらいの老人と河童の話をする。崇は高校三年からの付き合いだ。
 三人は相馬の甲冑競馬や神旗争奪戦を見る。奈々の友人の彼だった亘理と会い、小高製薬の社員の特等席で見ることが出来た。岩沼仁常務取締役、中村寿之部長、中村のフィアンセ・秋野美恵子を紹介される。安岡の話になる。
 安岡の弟・昭二が禮子の家の近所の川で左手首を切られて亡くなっているのが発見されていた。同じ強羅川で兄・良一が左腕切断で見付かった。良一が揉めていた直泉製薬のMR小森が行方不明だった。
 夜、祟は三人と合流する。神山禮子は自分の廻りで起こる、知人の死を御名形史紋に相談する。史紋は毒殺だろうと言い、六種ぐらいの毒を挙げられるという。
 小森が茨城県と福島県の境を流れる川で見付かった。自殺かと思われた。
 相馬の駒曳川で秋野美恵子の遺体が見付かる。中村は怪我をした後輩に替わり神事に出るために別行動をしていた。中村のところに来た岩沼と亘理の話から、美恵子を殺したのが岩沼だと分かった中村は甲冑姿の本刀で岩沼を殺し、自分の首を斬る。
 富岡大学付属病院の外科部長・坂元と亘理の臨床検査データーの八割の捏造、それに纏る金銭授受、そんな話を禮子の廻りに纏わり付いていた昭二が聞いていたように思われ殺された。近所をうろつく兄は筋弛緩剤を使い殺した。小藤は亘理がしていることの仲間に入れろと言ってきたために殺し、出雲川に捨てた。夜、二人が話している時に美恵子が通りかかった。聞かれたと思い口封じに首を絞めた。
 小高製薬の三人は異分子だった。仕事が出来独立を考えていた。それらは社長が、岩沼が中村を追い出すための謀だった。社長は中村が岩沼を殺したことを聞いて、予想以上の収穫だと思った。
 河童の欲しがるものは、昔川衆が取り上げられた物なのだ。
 

2017年5月12日金曜日

読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない

読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない 三上延 倉田英之

2017年5月11日木曜日

こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌

こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 峰守ひろかず
 ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ
 前川響平が通う鎌倉の私立高校に、豊富な蔵書を持ちながら、利用者が少なく廃止寸前の旧図書室があった。図書部に在籍する卯城野こぐちは、響平と共に旧図書室維持のためビブリアファイトに挑むことになった。
 偶然出会ったビブリア古書堂の篠川栞子にアドバイスを貰う。
 コナン・ドイル「名探偵ホームズ」、中島敦「李陵・弟子・名人伝」、L・M・オールコット「若草物語」、ル・グウィン「影との戦い ゲド戦記Ⅰ」、ミヒャエル・エンデ「果てしない物語」、鎌池和馬「とある魔術の禁書目録」
 バトルに関係なく、耐震基準に満たないため旧図書館を壊すことになった。栞子のアドバイスで古い本を探し、古いお金を見付ける。三百五十万円になり、旧図書室の耐震補修をすることになった。

2017年5月10日水曜日

剣客旗本奮闘記⑫ 三狼鬼剣

剣客旗本奮闘記⑫ 三狼鬼剣 第一幕 完 鳥羽亮
 御小人目付が殺される。武士に寄る強請で千両を取られた商家が二軒あるようだ。作事方を名乗る者と御納戸役を名乗るものがいる。
 二百石非役の旗本・青井市之介25は、伯父・千石の旗本御目付け大草主計から手伝いを頼まれ、道場仲間・糸井俊太郎に手を貸す。いつも百両貰う。今回は徒目付組頭という役名が出た
 父親が御納戸役だった御家人阿部と、作事方だった時、棟梁から賄賂を貰い便宜を図ったことで辞めさせられた伊勢田と道場の食客だった吉松が犯人だった。町人が一人と同門の越水が仲間に加わっていた。
 青井は吉松の折身の突きを破り倒す。伊勢田は捕まり、阿部は自死する。町人は町方に渡された。

2017年5月9日火曜日

結城半蔵事件始末〈二〉 御法度

結城半蔵事件始末〈二〉 御法度 藤井邦夫
 赤蜻蛉 町人が数人に武家に殺されるのを見たゆみは人を呼び助けようとするが間に合わなかった。犯人を見ているゆみは、命を狙われる。半蔵は下男・卯之吉にゆみを護らせる。ゆみを襲った者に卯之吉は斬られ、結城家に帰る。ゆみは卯之吉の世話をしながら結城家で暮らす。半蔵の娘・佐奈子はゆみに飾り紐を習う。
 犯人は旗本三千石岡田主膳の息子・祐之進付きの家臣・柴田甚八郎だった。主膳は小普請組支配だったが金で役目を買っていることが分かりお役御免になっていた。岡田家が返り咲くには祐之進が家督を継ぐことがいいのだが隠居しようとしない主膳に祐之進は薬を使った。薬を調達した薬屋を殺した。
 半蔵は岡田家に乗り込み全てが明らかなのを告げる。祐之進は柴田を半蔵に差し出し切腹を求めるが、放り出された柴田は全てを証言する。柴田は死罪。岡田家のことは評定所に届けた。
 御法度 ゆみの長屋に新しく浪人夫婦・青山が来た。青山の命を狙ってやってきた浪人が間違ってゆみの家を狙う。卯之吉が阻止した。豊前神津藩奥村家藩主・大膳太夫の腰元が側室になるのを拒み、家臣・青山と逃げていた。大膳は青山を兄のように慕っていた山岸を追っ手にする。山岸が青山を連れ出している間に、浪人が妻を斬った。青山は藩邸に押し入り討ち死にする。半蔵は神津藩の内情を噂として広めた。半蔵は大目付・永井主水正に噂はほとんどが真実だと告げた。大膳は隠居し家老は切腹、神津藩の法度は多くが廃止になった。
ゆみと卯之吉が一緒になり、結城家で働くことになった。
 復讐鬼 呉服屋の菱野屋の主・宇兵衛が心の臓をひと突きで殺された。茶の宗匠・桂田松庵も心の臓をひと突きで殺された。同心・高村は二人の関係を探す。五年前、宇兵衛は松庵と近江屋の忠太郎と遊び回っていた。菱乃屋が傾いた時、お金を貸してくれるところがあって持ちこたえていた。五年前、茶道具屋が火事で何もかも燃え、家族はみんな亡くなっていることが分かった。忠太郎は浪人を雇った。忠太郎を殺しに来た者を捕まえる。忠太郎は刺されたが助かった。殺人者は浪人に殺される。殺人者は五年前火事にあった茶道具屋の主だった。忠太郎は五年前の火付けで死罪になった。
 吹溜り 十万坪の新田の外れの木賃宿が浪人の吹溜りになっていた。無頼の浪人の非道な振るまいが目に余る。町奉行所の捕り方が囲み捕まえた。木賃宿の主人・作造は女を助け、捕物の助けをし、斬られる。宿が燃えるのを見ながら亡くなった。作造の身元を調べるが判らなかった。

2017年5月8日月曜日

浪人奉行 一ノ巻

浪人奉行 一ノ巻 稲葉稔
 呉服木綿問屋・岩城升屋の主・九右衛門と栖岸院の住職・隆観は八雲兼四郎を雇い、悪党を成敗して欲しいと頼んだ。無宿の悪鬼を退治する浪人奉行と名付けた。
八雲兼四郎は師匠の娘と子供を夫のところに送る途中、無頼の者に二人を殺されていた。町人になり、「いろは屋」というめし、干物、酒の店をやっていた。
 定次という元岡っ引きといっしょに、下高井戸の百姓の家を襲った者を退治に行った。
 彼らは江戸で押込みを働き、二つに分けた盗み金を持って現れる仲間を待っていた。待ち切れなくて百姓屋で人を斬っていた。二軒の百姓家を襲っていた。途中、橘官兵衛が仲間になった。
 七人を斬り終わった。いろは屋の主人に戻った。

2017年5月7日日曜日

遠縁の女

遠縁の女 青山文平
 機織る武家 武井の家に養子に入った由人の妻、が亡くなり後妻に入った縫。縫の実家は川の氾濫で無くなった。居場所の無い縫が、親戚と縁を切った武井家のために機を織る。気位の高かった義母・久に介護が必要になった時、由人は世話になった人だからと致仕し、久の介護をする。腕の良い縫はどんどん機を織り、自分の居場所が出来た。
 沼尻新田 新田開発の話があり、柴山和巳は土地を見に行った。松林で松葉掻きをしている娘に出会う。和巳は全ての枠を開墾することにした。親類衆に労働力、資金を提供してもらい、収穫を配分する形にした。永年年貢免除になる。柴山家一統の中與の祖と呼ばれる。新田の初代領主になりクロマツ林を御留林にした。娘が松掻きを続けられるように。
 遠縁の女 片倉隆明は、剣が好きだが得手ではない剣、不得手ではないが好きでもない学問、隆明は御徒頭の父から武者修行を奨められ、出発した。五年になり父が亡くなったことを知らされて帰った。学問所で優秀だった誠二郎が、右筆の娘・信江と一緒になり、右筆の義父と切腹していた。隆明は信江がいる隣藩の商家に会いに行き、話を聞く。御主法替えの準備が始まった頃、隆明が組に入らないように父は武者修行に出した。人望がなかった右筆は人望のある隆明と組みたかった。父は失敗しそうな組に入れたくなかったのだ。全てを知った時、家禄を返上した。一つだけ大事なもの信江だった。

2017年5月6日土曜日

ゆめ姫事件帖④ 恋文

ゆめ姫事件帖④ 恋文 和田はつ子
 ゆめ姫が亀乃の夢を解く 信二郎の母、側用人池本方忠の妻・亀乃。ふくれまんじゅうで思い出す伊太郎の夢を見た。生きているような気がする。と言うが、伊太郎の養い親阿蘭陀屋の療で子供たちは殺されていた。伊太郎たちが犠牲になって助けた久作が料理屋の主人として大阪から帰ってきた。店を出そうと買った土地が阿蘭陀屋の療だった。ゆめ姫に教えられ裏庭から子供たちの骨を取り出し墓を作る。
 方忠と亀乃は本来なら池本家の次男として暮らしている筈の信二郎が勾引かされ町方与力になっているのが可愛そうで、八千石の旗本の養子縁組みを進める。信二郎は断る。側用人が持ってきた話を断ることは出来ないが、親だから断れるという。
 ゆめ姫は夢治療を始める 八丁堀岡崎町玉圓寺の北の仕舞屋に「夢治療処」の看板を上げた。藤尾が持っていた信玄袋の元の持ち主、両替商池田屋の亡くなった娘・志まが現れる。信二郎とゆめ姫は町人の格好で墓に行き、信玄袋の縫い込みに入っている役者・雪之助からの手紙を読み上げ墓の中かに埋める。同じ墓地で、自分の墓ではないので本当の仁助を探して欲しいと言う、大村崎右衛門の霊と会った。仁助は雷が落ちて誰だか分からなくなっていた大村崎を自分の身代わりにしていた。仁助は大村崎がいた廃寺で暮らしていた。ゆめ姫は、瓶に集めた虫は薬だから、始めはみんなに使って貰い、効くことが分かってから売るようにという大村崎の伝言を伝える。
 ゆめ姫が熟柿探しに奔走する ゆめ姫は塩梅屋の熟柿を父・家斉のために手に入れようとおきくの夢治療をする。父親の友人の娘・かよは一年半前に階段から落ちて亡くなっている。かよが、苦しそうな顔でお腹を押さえて痛い、痛いと夢に出てくると言う。かよは身ごもっていた。火消しの辰造の子供だ。かよのような娘が四人いた。辰造が殺された。辰造に遊ばれた娘の弟が犯人だった。おき玖に治療を終えたのでもうおかよさんは現れないと伝えた。家斉は熟柿を食べた。
 ゆめ姫と信二郎 信二郎が悪霊に祟られて熱病に罹った。生きて人を殺めるならこのままで良いと眠っている。

2017年5月5日金曜日

新・古着屋総兵衛(十三) 虎の尾を踏む

新・古着屋総兵衛(十三) 虎の尾を踏む 佐伯泰英
 仙洞女院付・九条文女が誘拐され、総兵衛は探し回るが見付けられない。江戸城にも忍び込むが居なかった。二番火除地の開き屋敷の蔵屋敷に閉じこめられていた。老中牧野忠精が隠し屋敷として使っていた。九条文女を取り返す。
 長岡藩牧野家家老が鳶沢町の大黒屋を襲った。火付けをする。大目付本庄義親は牧野家家老に虎の尾を踏んだと言い、城中の触れてはならない謎と言う。家老は異人たちが江尻近くに船隠しがあることを承知していることを教えた。
 総兵衛はイマサカ号でマードレ・デ・デウス号との戦いに出る。正介の開発した爆裂弾で二隻の異人船は沈没した。
 イマサカ号と大黒丸は交易に出た。新造船の外見図と計画図と要望書を持って。
 新任老中青山忠裕が大黒屋に近づいて来た。

2017年5月4日木曜日

浮世絵宗次日月抄⑩ 天華の剣〈上下〉

浮世絵宗次日月抄⑩ 天華の剣〈上下〉 門田泰明
 宗次は筆頭大番頭西条山城守貞頼が下城途中白ずくめの忍びに襲われている所を助けたために、命を狙われる羽目になった。白忍びは前に宗次が倒した、「葵」が再結成された「白夜」だった。次期将軍問題で京から五代将軍を迎えようとする大老酒井雅楽守忠清が反対派老中堀田備中守正俊と筆頭大番頭の西条を亡き者にしようとしていた。白夜の長官・貫鬼四郎五郎高房が堀田家に忍び込み堀田家家臣に殺され、新長官に式部蔵人光芳が付いた。式部と宗次は出会い気が合っていた。式部は斬るように命じられた相手が宗次と分かり立ち合いを申し込む。宗次は式部の母親を思い斬りたくないため斬られようかと迷うが宗次対馬守作造の刃をつぶして立ち会う。手の甲の骨を砕いて終わった。
 山城守貞頼は八千石になり屋敷裏の空き地を拝領した。四万石田賀藩御中老六百石廣澤家を離縁された娘・美雪は求学館「井華塾」という女性塾を開く予定になっている。離縁しながら美雪に付きまとう廣澤和之進が美雪と会う宗次に刀を抜いて突っかかり勝負にならない負け方で川に落ちた。
 長屋の向かいの屋根葺き職人久平とチヨの娘・花子と吾子が迷い犬・狆を拾った事で出会ったのは、駿河大納言徳川忠長の息子・松平長七郎長頼だった。奥様の飼い犬だった。乗泉寺谷町に連れて行く約束をする。
 美雪はチヨに、漬物、煮物を習っていた。
 
 苦難をこえて 西条家の妻の里・大和より曽雅のお祖母様が江戸にやってきた。宗次と美雪は徒歩で保土ケ谷の本陣まで迎えに行く。本陣で侍姿で美雪と並んで座る宗次に、お祖母様は貞頼の言葉として「我が身が穏やかな今のうちに、美雪の生涯を預かって貰えまいか」と言う。またお祖母様は「美雪の生涯を救ってくれ。預かってくれ。護ってくれ」とお願いされる。宗次は「大藩の政治に巻き込まれる恐れがある。私と供にある者も平穏では居れなくなる恐がある。命さえ危ういかも・・・」と言うが美雪は「供に歩みたい」と言い。宗次も「護る」事を誓う。お祖母様は貞頼に「真にめでたく調いたり」と伝える。


夢伝心眼流 揚真流 夢想心影一刀流

2017年5月3日水曜日

拵屋銀次郎半畳記② 侠客〈一〉

拵屋銀次郎半畳記② 侠客〈一〉 門田泰明
 銀次郎は千五百石旗本・次席目付・和泉長門守を伯父に持つ、旗本だった。父親の代に改易になるところが、蟄居閉門になった上、事実上何も失っていない扱いとなっていた。家康から、永久不滅感状なるものが出されていた。桜伊銀次郎、麹町に屋敷がある。
 銀次郎が拵えをして見合いに行く途中、京野屋の大旦那・文左衛門80が一瞬で殺される。文左衛門は元武士で隠密勘定調査役だった。京野屋の調べに入った目付衆と岡っ引き三人が料理屋で皆殺しに会う。南町筆頭同心・真山仁一郎から分かったことは知らせる事が条件で、調べの許可を貰った。
 調べていた銀次郎は殺したのが、銀次郎の拵えの相棒・仙の夫だと知り、居所をつき止める。仲間が居り、組織があることも分かるが、金剛力士のような武士が二人の首を落とした。銀次郎は恐怖に見舞われた。仙に夫が死んだことを伝えた。仙・には娘・紀美3がいた。
 伯父・和泉長門守が新井白石に呼ばれ、屋敷に行く途中で襲われる。駆けつけた銀次郎に助けられ怪我人が二人だけですんだ。
 銀次郎に大奥江島から呼び出しが掛かる。

2017年5月2日火曜日

入り婿侍商い帖 出仕秘命〈三〉

入り婿侍商い帖 出仕秘命〈三〉 千野隆司
 永代橋の架け替え工事が始まった。三万五千両の普請だった。久野屋が橋普請頭になった。道役に決まった長兵衛が殺された。使われる木材を良い物しか使わない、いい加減なことはしない道役だった。娘が浪人を見ている。命を狙われたので大黒屋で預かることになった。
 米屋「大国堂」の主と勘定方組頭・五月女角次郎の二役をこなしている。兄が永代橋崩落時に殺された角次郎は、いい加減な普請は許されないと思う。兄が不正を調べていた上役・勘定奉行・大久保忠信や勘定吟味役・畑山将監たちが何もしないはずがないと言う気持ちで調べていた。
 長兵衛の息子・長吉に詳しく橋について聞く。信州岩村藩から来る筏師、岩村藩の木材を扱う鵜川屋の若旦那、岩村藩江戸家老・飯尾左京太夫を味方につけ、情報を得る。兄が死ぬ前に言い残した裏切り者が誰だか分かった。兄に調べを命令した元勘定奉行・現大目付・中川忠英の用人頭・広瀬四郎兵衛一家だった。息子・四郎太の出来が良く、中川家の用人では納得できず、嫡男だが、養子に行く予定になっていた。鵜川屋の若旦那から材木が送られることを連絡された日、広瀬を使って情報を流し、勘定方の役人も出てくるように仕向け、捕り方を張り込ませた。木材が不良品であることを確かめ、捕まえた。勘定組頭・盛下を捕まえ、屋敷内の調べをし、書状など不正の証拠を押さえた。
 贈賄の記録が残され、入札の不正の証明もあった。大久保が不正の首謀者であることが証明され、死罪、家は断絶となった。
 角次郎は兄の敵を取り、五月女家を息子・善太郎に譲り、大黒屋の主に戻った。
 角次郎は中川に市井にあって力になって欲しいと言われた。

2017年5月1日月曜日

あきない世傳金と銀〈三〉

あきない世傳金と銀〈三〉 奔流篇 高田郁
 幸は大阪天満の呉服商「五鈴屋」の五代目・惣次と一緒になった。
 惣次は手代にノルマを与え、考えて売ることを奨励する。大節季払いを止め、五節季払いにし、手持ち現金を増やす。
 幸は、浮世草紙の後ろの余白に「五節季の五鈴屋」と刷り込むことを思いつく。惣次が手配し、五鈴屋の名前が知られる。傘を五鈴屋ののれんと同じ青みがかった緑色にし、五つの鈴に模した紙を張り、小さく「天満菅原町 呉服 五鈴屋」と書いた傘を百本作る。人気傘になり、名前が知れ渡る。
 惣次が新しい仕入れ先を探している。幸は糸で有名な江州で機織りまですることを提案する。惣次は機織り屋を探し、両替屋の手形を渡し、羽二重を織り始めた矢先、手形発行の両替屋が潰れる。惣次は我関せず何もしようとしない。波村に行くことを進める幸を惣次は手を挙げる。江州波村から機織り元と庄屋・仁左衛門が訪れ、不実な者とは手を切るという。「惣次と組むのは御免や」と。
 幸は「このままでは勿体ないので、縮緬が織れるようになるまで育て上げるまで支援させて頂きたい。」と願う。仁左衛門は幸とは取引をしても良いが惣次とは御免やと言われ、惣次は好きにしたら良いと座敷を出て行く。