2017年11月6日月曜日

渡り辻番人情帖② 浅草の月

渡り辻番人情帖② 浅草の月 吉田雄亮
 御家人の三男だった浅井源三郎は侍を辞め辻番請負人組合に所属する組合辻番人入「吾妻屋」主人・文蔵に奉公している。古着屋の娘・千賀と一緒になるため辻番になった。文蔵が人柄と天真正伝神道流免許皆伝の腕に惚れ込み揉め事の多い辻番所へ出向き厄介事を落着し後任に任せるという役割を担う渡り辻番として年三十両で雇われた。
 二十軒茶屋御福の茶 酔った大番組番士と寺侍の間に入った辻番人頭が峰打ちされ大怪我をして動けなくなったため源三郎が薬師橋たもとの辻番人頭に任じられた。
 刀にぶつかった母子を刀で叩きのめそうとしている番士から母子を護ろうとした源三郎。番士・高部を止めようとしている武士は源三郎と同門の中山良次郎だった。高部は刀を引き去った。翌日、源三郎は中山を通じて高部に呼び出され、大番組組屋敷で組屋敷支配・石沢の前で高部と試合をすることになった。高部は剣を落とし決着した。
 水茶屋で働く藤が辻番所の前に佇み毎日大塚新次郎を待っていた。大塚新次郎は敵を探していた。その生活を藤が支えていた。新次郎の敵は見付かっていた。桶職人になり妻も子もあった。新次郎の敵討ちが終わることを待っている母が国許にいた。新次郎は藤を置いて国許に帰りたくない。仇討をすることに躊躇いがあった。桶職人に立会いの申し入れをしながら仇討を止める。刀を捨てる。職人になる道を選んだ。
 新堀薬師橋 茶店に子どもが置き去りにされた。千賀が預かる。小間物問屋「倉見屋」の末松だと判った。倉見屋の内儀が旗本八百石柴田勘太夫の屋敷で行儀見習いをしていた。嫡男の子どもを身ごもり、家に帰された。嫡男が病になり跡継ぎがいなくなるため倉見屋の末松3才を連れ帰ろうとしていた。店は見張られ、毎日嫌がらせに来ていることが分かり、源三郎は火付盗賊改役与力・和田隆太郎から若年寄に訴えようとした。店を見張る家臣を捕まえ、柴田勘太夫に事を荒立たせると家禄召し上げということもある。と話を持ちかけてもらい、向後一切倉見屋には関わらぬと言う約定書をいただいた。
 源三郎に五百石の旗本・金子惣右衛門からの養子話しが来た。石沢は武士を捨て町人になった男がいる。このまま埋もれさせるのはもったいない男だと源三郎を褒めちぎって回るため養子を探している金子から話がきたのだった。源三郎の兄は乗り気だ。千賀は妾にして妻は親戚から貰うという話になっていた。源三郎は断りに行くが、会ってみて金子はもっと乗り気になる。妻も源三郎を気に入るが、金子に諦めさす。源三郎の下に諦めるという手紙が届く。

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