2017年11月25日土曜日

鎌倉不動産のあやかし物件

鎌倉不動産のあやかし物件 安東あや
 紺野清花は夏休みに、鎌倉の老舗不動産の御曹司と見合いを仕組まれた。相手の最上雅秋は霊が見える体質だった。十四才の時、家庭教師・藤川紗英の兄が八才の女児の殺害を暴いてしまい、殺されそうになった。別人のような恐ろしい顔だった。その後、雅秋は世捨て人のような生活を送っていた。清花は見合いの場で幽体離脱をしてしまい、雅秋に戻して貰う。そのため清花は雅秋と同居することになった。
 鎌倉のいわく付きの物件のお客様相談室での仕事をするようになった。
 幽霊が出ると次々と住人が出て行く物件を見に行く。幽霊はいた。以前に住んでいたうれないで引退して引っ越しした女優だった。引っ越ししてからはどこにいるか判らない。彼女は元マネージャーに殺され、庭に埋められていた。二人が場所を特定し遺骨を見付け供養した。霊は出なくなった。
 一軒家から誰もいないが、子どもが走り回る気配がする。相談があった。五才くらいの着物を着た男の子の霊だった。海岸で拾った矢じりを犬が家に持ち帰っていた。鎌倉の古い昔、矢じりで殺された子どもの霊だった。盆送りをする。
 東慶寺で藤川紗英に十年ぶりに会った。東京で暮らし仕事も成功しているらしい。雅秋は清花に十年前の話をした。
 次の日、スーパーでまた紗英に会った。紗英の横に血みどろの女性の霊がいた。清花が気を失った。近くの紗英の家に運ばれた。清花の魂が離脱したまま紗英の家の中を調べる。霊になっている女性は仲の良かった同級生・千香子だった。千香子は紗英の婚約者・花岡伸吾と結婚していた。疲れて倒れた雅秋を置いて、清花は一人で花岡伸吾に会いに行く。清花は地下室の隠し部屋に閉じこめられる。その部屋には何人もの女性の持ち物があった。殺した女の記念品だと言う。千香子が気が付いたために殺していた。インターホンが鳴り続けるため伸吾は清花を縛り、口をガムテープで塞ぎ出ていった。雅秋が来た。携帯のGPS機能を使って。清花は魂だけすり抜けて玄関に行く。雅秋は監禁と殺人で警察を呼ぶように運転手に連絡する。清花が地下室の隠し部屋に案内する。包丁を持った伸吾を霊たちが押さえている瞬間に雅秋が伸吾を突き飛ばし、落ちた包丁を清花が拾う。警察が来た。紗英に嫉妬していた千香子の霊は紗英に付いたままだった。清花は紗英を東慶寺に誘い三人で行く。天秀尼の墓で清花は千香子の怨霊を切り離して下さいと頼む。紗英が千香子を偲び泣いている。千香子の怨霊は紗英の肩に手を置いて消えた。
 君がうちに嫁入りしたら魂は抜けなくなるかもしれない。試してみる?と言う雅秋。
 それってプロポーズ?
 そういう道もあるってこと、考えておいてと言う雅秋。

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