風の市兵衛⑲ 遠き潮騒 辻堂魁
干鰯〆粕問屋「下総屋」の主人・善之助が殺され調べを始めた渋井鬼三次43才は、善之助がひっかいた後が残る久蔵という男に目を付けた。銚子から来た男だった。銚子に行く。
公儀小人目付役・返弥陀ノ介かえりみだのすけは子どもの頃世話になった八十石の御家人松山家の隠居から二年半前に亡くなったことになっている長男・松山卓を見た者がいるので確かめて来て欲しいと頼まれる。卓は弥陀ノ介の幼馴染みだった。銚子湊の勘定所番所の務場に赴任し行方不明になっていた。亡くなったとみなされ弟が出仕していた。弥陀ノ介は休みをとり銚子に行く。
唐木市兵衛40才は兄・旗本千五百石目付片岡信正に頼まれ弥陀ノ介と一緒に銚子に行く。弥陀ノ介を助けるためだが、三年前、銚子湊に幕領米の密米の噂があった。気になりながらそのままにしたことが気になっているということだった。一緒に調べるつもりで行く。
渋井は顎にひっかき傷のある男久蔵が、鯵切の団六という人斬り家業をしている者だと判った。渋井は捕まえた。密米を江戸へ流す船便の相談をし、断られたために殺していた。
卓は見付かった。怪我をし、浜に打ち上げられ、助けられていた。記憶を無くし所帯を持ち子どもが出来ていた。今では記憶も戻っている。三年前、米の密米に気がつきこっそり調べ始めたとたん、崖から落とされたのだった。三年前、卓を殺したつもりだった者が、卓が行きていると判り命を狙ってきた。市兵衛と弥陀ノ介は捕まえた。銚子の務場の役人は自害した。
卓は卓に頼まれた者ということで松山家を訪れた。松山家に帰らない決心を告げる。
市兵衛は見合い相手の父親と会うことになった。
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