2017年11月22日水曜日

町触れ同心公事宿始末② 縁切り花

町触れ同心公事宿始末② 縁切り花 藍川慶次郎
 三途の闇 鈴屋に泊まっていた嘉左衛門が毒死した。慎吾は筒井奉行に呼ばれ、裏に不審な死が絡んでの訴人の願い下げが三件有り内偵するように言われた。嘉左衛門の後を久右衛門が引き継いだ。
 幇間の河太郎、羽織芸者の咲、糞尿船頭の甚右衛門、お城坊主の株を買い西の丸中奥坊主の道阿弥が三途の川の渡し守の闇仕事を行っていた。
 慎吾等の探索が邪魔になった四人は鈴屋に火を付け、九右衛門を殺そうとし、逃げ捕まった。
 八州かたり 八州廻りの古旗源三郎が夜伽を命じたり江戸の屋敷に奉公に来いと言ったりすることを御用屋敷に訴えようとする女・花が鈴屋を訪れる。慎吾は兄に尋ねる。古旗大三郎がいた。古旗を調べる。常陸では花の許嫁・千吉は捕まり番手の朝次が閉じこめていた。実家の児島屋は朝次に乗っ取られていた。大三郎は源三郎に八州廻りを詐称させ、巡回地から目溢し金を吸い上げて江戸で隠居暮らしをしていた。密談している所に慎吾が踏み込み捕まえた。
 修羅の雪 この所慎吾が手柄を立てたために義母の様子が変わった。慎吾に子が無いため本家から養子をとるつもりにしていたが、慎吾に後妻を取らせようとするようになった。慎吾が養子に入った多門家の娘・秋江は亡くなっていた。慎吾は本家から養子を入れ、家督を譲って自分は鈴屋に転がり込むといっている。
要屋長右衛門の娘・由美は牢にはいっている仙蔵に会いたいという。仙蔵は自分の父親かも知れないと言う。慎吾は仙蔵を調べる。仙蔵は溜にいた。
長右衛門・松吉と仙蔵は十六年前、奥会津で一揆に巻き込まれていた。村人だが役所に勤めていた二人はどちらにも付けず、どちらからも疎遠にされた。村人から家族を守るため松吉は村人を殺していた。元締手付けの小室の娘・由美を預かる。家族とは逸れる。由美を人に預け江戸に出て暮らせるようになってから由美を引き取った。会津に行けるようになって仙蔵の息子・新吉に出会い、手代になっている。長右衛門は強請に来るものを三人殺していた。仙蔵は慎吾に十六年前の話をした。慎吾は仙蔵にも長右衛門にも誰にも言わない約束をした。長右衛門は自死した。番頭に新吉と由美を一緒にして店を切り盛りしてくれるように託していた。
 縁切り花 南町奉行所定中役同心・笹目三十郎の敷地内に借家している遠藤正典という医学館に務める御番医師の娘・早苗21が慎吾の縁談相手だった。
 内与力から探索命令が出た。夫・房次郎から殴るけるの暴行を受け東慶寺に入った照が夫から訴えられた。照が間男しし、房次郎の大工同具を換金し、間男を信州に逃がし、寺から下りたあと所帯を持つつもりだと訴えた。慎吾は寿々と東慶寺に行く。
照から房次郎の行状を聞いた慎吾は江戸へ帰り、房次郎の行状を暴く、娘・千佳の勾引かしを考え、千佳を預かっていた兼を脅している所に現れた慎吾は房次郎を斬る。房次郎は照の信州の実家から離縁を餌に財産の半分を巻き上げていた。

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