為吉 北町奉行所ものがたり 宇江佐真理
奉行所付中間 為吉 為吉23才 呉服屋摂津屋の息子だった。5才の時押し込みに会い、両親、祖父母、手代、女中が殺され為吉一人が助かった。母親の妹・おせきに引き取られ育てられた。おせきの連れ合いは儀助という岡っ引きだった。儀助は為吉に邪険だった。12才の時米屋に奉公に出る。他の奉公人と喧嘩になり自身番に行く。坪内半右衛門50才に会い、坪内の下男として働いた。年番方与力の誘いで、17才で北町奉行所の中間となった。
摂津屋を襲ったと思われる青蜥蜴が捕まった。青蜥蜴は摂津屋を襲っていないという。為吉が池にはまったために辞めさせられたネエヤは青蜥蜴の姉の娘だった。その娘は摂津屋を辞めたあと自殺していた。青蜥蜴が摂津屋を襲った理由だと思われた。
下手人 磯松 旅籠「大黒屋』の飯盛り女だった磯松の母親は乳飲み子の磯松を置きざりにした。大黒屋の女将・おりそが自分の子のように育てた。が、磯松も小僧として働くようになった。おりそが寝込むようになり、主は若い女を妾にした。おりそは裏の離れで亡くなる。妾の妹が若旦那のおかみさんになる。
磯松は頭を使えといわれ、主ののど元を火箸で突き、出刃で妾を刺し、男衆三人を刺した。磯松18才は捕まる。為吉は磯松と話し、磯松は頭を使えと言われるのを嫌がることがわかった。
見習い同心 一之瀬春蔵 春蔵14才、見習い同心になり神谷舎人42才臨時廻り同心に付くことになった。同僚のあら探しばかりしているように言われている人だった。奉行所で不祥事が起こらぬよう、耳の痛い事をいう悪役がいるのだ。という。神谷の妻は父親の不祥事の犠牲者だった。そんなことが起きないようにしていた。
与力の妻 村井あさ 二十年前、あさの兄の突然の死であさが養子を貰うことになった。金兵衛・年番方与力だ。長男・信一郎 次男・斧次郎13才 長女・静江15才 次女・ゆりがいる。あさの許嫁だった棚橋は吟味方与力だが、今回死罪になったものが冤罪ではなかったかということになった。金兵衛が尽力をつくし冤罪でないことを証明した。そんなことから二十年前の話しになり、棚橋が金兵衛にあさの養子になって欲しいと頼んだことが分かった。もう一人の養子の話しは二十五才くらい年上だったのだ。
岡っ引き 田蔵 田蔵42才。大根河岸に一茶という水茶屋の主であり、岡っ引きだった。祖父も父も北町奉行所の同心に十手を預かっていた。父親は両親と弟たちを火事で亡くした娘・おつるを田蔵19才の嫁にするつもりで家に引き取った。祝言を挙げてまもなく、おつるに先を見る力があることがわかる。おくみが生まれ、父母が亡くなる。おくみは六才の時から母親の手伝いをし、巫女のように座っている。神様は繁盛だった。
おみと14才がいなくなった。為吉はおつるに相談に来る。田蔵と二人でおみとを見付ける。為吉はおくみを一目で好きになり、坪内に相談し、養子に入ることになった。
下っ引き 為吉 為吉は田蔵の娘婿になり、六年勤めた奉行所を退いた。呉服屋の反物が盗まれる事件が続いた。呉服屋の手代と田蔵の下っ引き・竹次の仕業だった。二人は少年時代の悪仲間だった。竹次は牢内で死んだ。田蔵の家族は辛い冬を過ごしてが、翌年、おくみの懐妊がわかった。
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