はぐれ名医事件暦 和田はつ子
南町奉行所同心・倉本和之進は与力・中島嘉良に言われ、蘭方医・里永克生に骸の検分をしてもらえるように頼む。検分役は小田幸右衛門と二人になった。
頭を鉈で割られた殺人が起こる。頭を割られて川に投げ込まれたり、毒をもられてから頭を割られたり、頭を割られて腹を割かれ肝臓を取られたりしていた。三番目は三千石の旗本の当主だった。病気の娘を抱えた浪人が自分が犯人だと書き残して切腹していた。娘も首を切られていたが、克生が助けた。浪人が犯人ではないと思ったため娘が生きていると話し罠を仕掛けた。犯人は娘を殺しに来た。旗本の次男だった。
十五年前の事件を暴く。盗賊に入られて28人が殺され、娘・奈津が布団部屋で助かり、手代・祐吉が泊まりがけの使いに出ていて助かった。二人は夫婦二なり、商いを続けている。今まで人を殺していなかった天誅の治五郎という張り紙があった。
奈津が気鬱の病に罹っている。毒をもられた。克生の手当てが早く助かる。奈津は短刀で殺された。恒造が土左衛門で見付かった。
十五年前の犯人は娘の手引きによるものだった。祐吉と一緒になりたいために祐吉がいない日におこなわれた。祐吉もうすうすは気が付いていた。
祐吉が十五年前のことを利用し、今回の殺人事件を起こした。奈津に娘が庭でマンダラケを育てていることを教える。奈津は心配で気鬱になる。十五年前、奉公人にマンダラケを使ったのは奈津だった。恒造を治五郎に仕立て、恒造が奈津を殺し自死したように話しを持って行った。祐吉は馴染みの女に唆されて奈津を殺した。恒造は本当に治五郎だったようだ。自分が人を殺していない証明をするために住み込んでいた。
菊見会の近くの料理茶屋で損料の他に高利貸しもし、悪徳商人といわれている山吹屋嘉平が殺された。数之進、幸右衛門、克生が揃う。殺すことができた者は、廊下にいた番頭の新三、商談をしていた川越の富川屋治兵衛、庭んに迷い込んでいた和菓子屋のおいねの三人。三人はそれぞれ嘉平を刺していた。が、克生が調べた所、嘉平は刺される前に心の蔵が止まっていた。死んだ嘉平を刺していた。
十年前、米問屋竹屋の5才の娘が勾引かされ身代金を払ったが、娘は殺されて見付かった。付いていた女中おてみが疑われ解き放たれて身投げした。竹屋の内儀・おこうは身籠もっていた子を産んだが難産で母子共亡くなった。主の徳兵衛も首を括って死んだ。この事件の犯人が嘉平だと調べた新三は、証拠を摑むために山吹屋に入った。新三はおてみの許嫁だった。治兵衛は徳兵衛の弟だった。おいねはおこうの妹だった。新三とおいねは江戸を出た。
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